超高齢社会 「死」の観念、大きく変化-中外日報コラム(2)

(1)「孤独死」「無縁墓」は再考を―中外日報コラム(1) https://hajime-himonya.com/?p=1572 超高齢社会 「死」の観念、大きく変化―中外日報コラム(2) 「平成29年版高齢社会白書」によれば、2016年の日本の総人口1億2693万人に対し、65歳以上人口は3459万人となり、高齢化率は27・3%。 指標では21%以上は「超高齢社会」であり、日本では10年にすでに突入している。 問題は「現役世代」(15歳~64歳)の比率の低下である。 戦後高度経済成長期の初期である55年に... 続きを読む

民俗、習俗にとっての遺体ー遺体論④

「遺体論」は今回をもって最終回とする。 民俗、習俗において「遺体」とはどういう存在だったのか?―遺体論④     はじめに 古来、日本人は遺体をどうとらえていたのであろうか? ここで葬儀習俗に残るものを手掛かりに述べるが、そういう形に定着するまで時代変遷があったはずである。 たとえば民衆が地域共同体を確立する以前はどうであったか? 都市での民衆の死体が路傍や川のほとりに棄てられていたという光景が伝えられるが、そこで民衆は人の死、そして遺体をどういう目で見ていたのだろうか? 単純に... 続きを読む

弔われない遺体、近親者にとっての遺体―遺体論③

弔われない遺体   ①行旅死亡人(身元不明の死者)   1899(明治32)年にできて1986(昭和61)年に改正された法律に「行旅病人及行旅死亡人取扱法」がある。 この法律の第1条に「行旅死亡人と称するは行旅中死亡し引取者なき者をいう」とあり、具体的には「住所、居所もしくは氏名知れずかつ引取者なき死亡人は行旅死亡人とみなす」と定められている。 第7条には「行旅死亡人あるときはその所在地市町村はその状況相貌遺留物件その他本人の認識に必要なる事項を記録したる後その死体の埋葬または火葬をな... 続きを読む

葬制と遺体処理―遺体論②

葬制と遺体処理―遺体論②   ①葬制   人が亡くなると葬儀が行われる。 ここで言う「葬儀」とは狭義のものではなく、人の死亡以降のプロセス全体を言う。 この葬儀の執り行い方を「葬制」(あるいは喪制)と言う。 この葬制は民族により地域により宗教によりさまざまではある。 さまざまではあるし、時代により変化もしてきている。 「葬制」とはそれぞれの民族、さらにいうならば地域社会(これも現在は解体の危機にあり、それゆえコンセンサスが急激に失われているのだが)における文化と言える。   ... 続きを読む

「遺体」の言語的考察ー遺体論①

いよいよ「遺体論」に入る。あるいは「遺体」を視点とした葬制を見ることになるかもしれない。 j地味な話であるから、関心のある人だけに読んでいただければいい。 その第1回は「遺体の言語的考察」である。 「遺体」の言語的考察ー遺体論① ①「死者のからだ」を意味する語   日本語には、「死者のからだ」を示す語にはいくつかある。その代表的なものは「死体」と「遺体」である。 この2つは同じような言葉でありながら、われわれはこれを日常無意識のうちに区別して用いているように思う。どう違うのであろうか。まず、言... 続きを読む