親友の葬式―個から見た死と葬送(19)

親友の葬式 彼の葬式が行われる葬儀会館は駅からわかりやすい立地にあった。冬から春に移行する時期。コートはなくとも歩いて少し汗を感じるくらいだった。 式場に入る。遺族席に行って挨拶する。 死者の配偶者が私が来たことに驚き、腰を上げる。そして私が亡くなった彼の小学校以来の親友であることを周囲に教える。 「わざわざ、申し訳ありません…」 「いや、彼との約束だから。むしろもっと早く来るべきだったのですが」 「ちょっと顔を見てやってください。彼もSさんには会いたいでしょうから」 死後数日経っていたので、顔色は濃く沈... 続きを読む

布施の基本的理解―戒名、布施問題の多角的アプローチ(5)

戒名、布施問題について間が空いた。 前回は「布施問題の現況」について書いた。 https://hajime-himonya.com/?p=1498 今回は「布施」について基本に立ち返るところから書いてみる。 手元にある『岩波仏教辞典』(膨大な辞典類は事務所閉鎖に伴い譲渡したが、手元に残した数少ない辞典の一つ)には以下のようにある。 出家修行者、仏教教団、貧窮者などに財物その他を施し与えること。 とある。 「貧窮者などに」という言葉が入っているが、僧や寺院への財政的施しという面が強いことがうかがえる。 ... 続きを読む

子どもの貧困

子どもの貧困は日本の未来を決する問題だけではなく、子ども一人ひとりの人権に関する問題だと思う。 3keysによればhttp://3keys.jp/state/ OECDによると2005年の日本の子どもの貧困率は14.3%となっており、約6人に1人が貧困状態と言われています(2009年の厚生労働省調査によるとは15.7%)。 子どもの貧困とは、等価可処分所得の中央値の50%以下の所得で暮らす相対的貧困の17歳以下の子どもの存在及び生活状況を言い、一般的な水準の半分にも満たない水準で暮らしている子どもたちがど... 続きを読む

超高齢者には「終活」の準備は無理だ では?

『月刊エルダリープレス シニアライフ版』2017年3月号に 「‘ヘルプ信号‘早急に 周囲の支援受け生活継続」という記事が掲載された。 この原稿は「終活」といっても実際に準備しているのはわずか、という状況を踏まえてのものである。 以下、元原稿 困ったら早くヘルプ信号を出す。子や行政に甘えていい   ――「終活」がブームになったのはいつからですか? 「終活」という言葉は、2009年「週刊朝日」による造語です。2012年にユーキャン新語・流行語のトップテンに選ばれ、あっという間に市民権を得ました。... 続きを読む

覚せい剤についての気になる記事と情報 2017.02.10

覚せい剤使用に関する逮捕報道が目立つ。少し前であるが朝日新聞2017.02.07 シリーズ:依存症」「専門家に聞く 意志の弱さではなく「病気」 依存症とは」http://digital.asahi.com/articles/ASK2600R2K25UBQU00B.htmlという記事が目に入った。この中から気になった箇所を抜き出してみる。話し手は国立精神・神経医療センター薬物依存研究部部長の松本俊彦さん。 依存症は、周囲からやめるよう注意され、自分でもやめたいと思っているのに、やめられない病気です。本人の意... 続きを読む