葬送の変化をどう読むか 復刻版「0(ゼロ)葬から葬送の変化を検証」(2014年)―その2

前回 0葬登場の背景 復刻版「0(ゼロ)葬から葬送の変化を検証」(2014年) ―その1 https://hajime-himonya.com/?p=5103 データ等は2014年執筆当時のまま。 葬送の変化をどう読むか ①墓の変化 この間の葬送の変化は著しい。 墓は、江戸時代は集合墓も見られるものの個人墓が主体。 明治末期以降、「家墓」形態が主流となった。 1970(昭和45)年頃以降、都市化の進展による都市移住者の墓需要が拡大、大都市周辺で墓ブームが生じる。 民営霊園の多くがこの時期以降にできたもので... 続きを読む

0葬登場の背景 復刻版「0(ゼロ)葬から葬送の変化を検証」(2014年)―その1

【本稿についての注】 実は今回の原稿は7年前の2014年に書いたものである。 その頃、単行本の企画があり、その一部として書いたが、出版社が脱稿寸前に出版中止としたため、世に出なかった原稿である。 中小出版社の厳しい環境については熟知していたから、このことについて恨むことはなかった。 当時に比べて葬送の個人化はいっそう進行している。 2020年3月からのコロナ禍は2021年8月第5波を迎え依然として進行中である。 これが葬送にどういう影響を与えるかは不明である。 このところ「散骨に関するガイドライン(散骨事... 続きを読む

散骨に関する法令(続)―解題・散骨ガイドライン(中)

これまで書いたのは以下。 ・散骨に関するガイドラインが公表 https://hajime-himonya.com/?p=5071 ・散骨論議の経緯 https://hajime-himonya.com/?p=5079 ・解題・散骨ガイドライン(上) https://hajime-himonya.com/?p=5084 散骨ガイドラインの解題は、当初は2回の予定であったが、3回以上になると思われる。 前回法令について墓地埋葬法、刑法、廃棄物処理法について言及したが、今回は残った海上運送法、民法等、地方公共団... 続きを読む

解題・散骨ガイドライン(上)

これまで ・散骨に関するガイドラインが公表 https://hajime-himonya.com/?p=5071 ・散骨論議の経緯 https://hajime-himonya.com/?p=5079 と論じてきた。 時間を置いたこともあり、今回と次回(予定)にわたり「解題・散骨ガイドライン」と題して書く。 散骨論議の経緯で不足した点も本項で補っていく。 令和2年度厚生労働科学特別研究事業「墓地埋葬をめぐる現状と課題の調査研究」研究報告書より 散骨に関するガイドライン(散骨事業者向け) ■ガイドラインの目... 続きを読む

散骨論議の経緯

この項は長い。 目次を参考に少しずつお読みいただければありがたい。 ■最初の散骨(「自然葬」) 日本で近代において記録されている限りの最初の散骨が報道されたのは、市民団体葬送の自由をすすめる会により1991年10月に神奈川県相模灘で「自然葬」と称して行われたものであった。 以後、同会によって「再生の森」にての地上での散骨を実施。 また民間事業者によって「海洋葬」等と称する海上散骨が行われるようになった。 これについては私が知る最初のものは東京都新宿区の葬儀社である公営社によって1994年2月に太平洋上にお... 続きを読む