角田山妙光寺法灯継承式に行ってきました

新潟市(旧巻町)の日蓮宗角田山妙光寺の法灯継承式に行ってきました。 妙光寺は永代供養墓の先駆け安穏廟で知られますが、それだけではなく、お寺が生きるということを模索し続けてきた寺です。 http://www.myoukouji.or.jp/about/index.html 700年の歴史をもち、まさに過疎地にある寺。 日本の寺の典型ともいうべき寺でした。 その寺がどう変わったか、は一つの実験例として広く検証される価値があります。 角田山妙光寺の住職が2017年11月18日に第53世小川英爾(今後は院首)さ... 続きを読む

葬祭仏教の誕生―葬祭仏教の史的展開(1)

戒名、布施の問題を取り上げてきたが、そもそも歴史的に「葬祭仏教」とはどう展開されたかについて数回に分けて書く。 葬祭仏教の誕生 ■「葬式仏教」の誕生 すぐれて「日本教」とでもいうべき「生活仏教」の形成に大きく影響を与えたのが「葬式仏教」であった。 寺は室町時代後期の「近世」の誕生と共に民衆、地域社会に入り込む。仏教は6世紀に日本に紹介されたとはいえ、近世以前は、基本は貴族、そして武家のための宗教であり、民衆の宗教ではなかった。葬祭仏教化することによって仏教は民衆社会に土着し、外来仏教であることをやめたの... 続きを読む

仏教界への提言・葬儀は何が問題か?―戒名、布施問題の多角的アプローチ(7)番外編

仏教タイムズ2017年2月16日号に「仏教界への提言」が掲載された。 これを本ブログのシリーズ「戒名、布施問題の多角的アプローチ」の番外編として公開する。 紙面は大きいが、字数が少ないため、問題を絞った。 全日本仏教会の中間報告へも言及していない。 しかし、最も言いたかったことを書いた。 編集部からは「消費者からの視点」で書くよう要請を受けたので、「葬儀とは遺族にとってどういう場面か」ということを切り口にした。 そのことで戒名問題、布施問題、僧侶派遣についても根本的なことを書けたかと思う。 詳細は本ブログ... 続きを読む

布施と寺の関係―戒名、布施問題の多角的アプローチ⑥

布施と寺の関係   「布施」は理念的には、 「施す人も、施される人も、施す物品も本来的に空であり、執着心を離れてなされるべきもの」 とされている。 本質的には、仏法を説く「法施(ほっせ)」も布施としてなされるものであり、見返りを期待したものではない。 また、その僧を支えるものとしてなされる「財施(ざいせ)」も「布施」としてなされるものであり、何らかの対価、見返りを期待したものではない。 また僧や仏教徒の布施は寺院の関係を超える。地域社会に精神的、身体的、経済的、人間関係的に不安や困窮し困難にある... 続きを読む

布施の基本的理解―戒名、布施問題の多角的アプローチ(5)

戒名、布施問題について間が空いた。 前回は「布施問題の現況」について書いた。 https://hajime-himonya.com/?p=1498 今回は「布施」について基本に立ち返るところから書いてみる。 手元にある『岩波仏教辞典』(膨大な辞典類は事務所閉鎖に伴い譲渡したが、手元に残した数少ない辞典の一つ)には以下のようにある。 出家修行者、仏教教団、貧窮者などに財物その他を施し与えること。 とある。 「貧窮者などに」という言葉が入っているが、僧や寺院への財政的施しという面が強いことがうかがえる。 ... 続きを読む