死後、人間の身体はどう変容するのか?―死体現象

遺体について論じる時、死体現象について知らねばならない。 病院における「死後のケア」「死後の処置」について看護職にある者は「遺体のその後」について充分な知識をもって死後の処置にあたっているとはいえない。 それゆえ「死後の処置」をもって遺体は安全になるわけではない。 遺体の変容は主として病院から出て、葬祭業者に引き渡されてから本格的に進行するのだが、一部を除いて遺体の管理に自覚的である葬祭担当者は少ない。 私は死体現象について専門家ではない。 そこで、本稿を核にあたり、以下の書籍等を参照したことを予めお断り... 続きを読む

死学ー遺体の位置づけと取り扱う者の倫理(2)

死学thanatology,death study ―遺体の位置づけと取り扱う者の倫理 https://hajime-himonya.com/?p=1539   の第2回 死学thanatology,death study ―遺体の位置づけと取り扱う者の倫理(2)   1.死学とは何か?(続き)   1)日本における現状   国際葬儀連盟(FIAT-IFTA)では「葬祭業者」をサナトロジストthanatologistと呼称している。 「サナトロジーthanatology」は「死に関する学問... 続きを読む

死学 ―遺体の位置づけと取り扱う者の倫理(1)―遺体に対する考察

遺体に関する考察   「遺体」についてはこれまで何回か書いている。 しかし、ブログではまとまった形では掲載していない。そこでこの地味だが逃れられないテーマについて、さまざまな形で書いたものを再編して掲載する。 SNSという特性の同時性とはかけ離れたものであるが、ご理解いただきたい。 しばらく続くが、関心のある方は目をとおしていただけると幸いである。   葬儀を論ずる場合に「遺体」は外せない。 しかし、過去に仏教会との関係で葬儀について書き、その中で遺体について書いたら、「残酷過ぎる」ということで、その箇所... 続きを読む

身元不明者の慰霊祭・東日本大震災アーカイブ④

身元不明者の慰霊祭 一昨日の7日、仙台の葬儀社・清月記の西村恒吉さんからメールをもらった。 今日(注・2017年3月7日)石巻仏教会による東日本大震災身元不明遺体慰霊祭が行われました。今年からは火葬場近くに新設された納骨堂前でのご供養となりました。僧侶20数名と、市職員5名の参列でした。   私たちは震災の翌年から、いつものメンバーでこの慰霊祭の準備をお手伝いしており、年々、減少する数は少なくなっていたのですが、昨年は34名のご遺骨で、今年は33名だとの事です。 1年間で1人しか身元が判明し... 続きを読む

妻を捜す 東日本大震災②―個から見た死と葬送(22)

妻を捜す 3月11日以降、私の胸のなかを風が吹きすさび、ときおり内部に奥が見えない空洞が広がり、心を揺さぶり続けている。 捜す。 東日本大震災発生直後は、毎日遺体安置所に通って、新しい遺体を確認して回るのが日課だった。妻が見つかればと願い、でも妻ではなかったことにどこかで安堵していた。 4カ月経った今では、新しく収容される遺体は日に数体あるかないか。多少類似している遺体を見せてもらうのだが、近づくのを拒むような圧迫するような臭いのバリアが立ち込めている。鼻が殺がれ、目が窪み、遺体には生前の面影を偲べるもの... 続きを読む