現代葬儀考

データで読む超高齢社会

 

 2000年に発足した介護保険は原則65歳以上を給付対象としている。給付規模は04年度で5兆5千億円、25年度には20兆円に達すると推測されている。
明治時代の平均寿命は、ほぼ男性が44歳、女性が45歳、戦後の昭和22年では男性50歳、女性54歳であった。現在はというと男性78歳、女性85歳である。この半世紀に 日本人の寿命は急激に大幅に伸び、いまや世界一の長寿国となった。
 よく葬儀で「長寿を全うし」あるいは「天寿」という言葉を耳にするが、最近では80歳未満で亡くなった人に用いられることはないだろう。

 高齢者とは65歳以上を言うが、総人口に占める割合は03年が19%であったのに対し0・5ポイント増加して19・5%の2484万人となっている。
 男性は男性全体の16・9%、女性は女性全体の22%で女性の高齢化率の伸びは著しいものがある。

 10年後には高齢者人口がいまより700万人以上増えて25%を超え、4人に1人が高齢者となると推計されている。老年人口指数というのがある。15~64歳の生産年齢人口を100とした場合の高齢人口の割合である。04年は29%であるから3人強で1人の高齢者を支えていることになる。25年には老年人口指数が48%になると推計されており、そうなれば2人で1人の高齢者を支えなければいけない社会になる。
 毎日新聞が「70歳から高齢者」と提唱しているが、65歳~75歳未満の、いわゆる前期高齢者を社会の中でどう有効活用すべきかが大きな課題であろう。

 高齢者の住環境も大きく変化している。3世代世帯の割合が減少し、高齢者の夫婦だけの世帯、高齢者の単独世帯の割合が年々増加している。
 03年国民生活基礎調査によると、11年前の92年には高齢者のいる世帯が全世帯の29%、1188万世帯であったのが、03年には9ポイント増加の38%、1727万世帯となっている。92年には3世代世帯が37%であったのが03年には13ポイント減の24%になったのに対して、夫婦のみ世帯が23%から5ポイント増加して28%に、単独世帯は16%から4ポイント増加して20%になっている。
 高齢者人口が増加することにより、特に80年代以降急激に3世代世帯の割合が減少し、代わりに夫婦のみ世帯、単独世帯が増加している。

 高齢者と次の世代が同居しているからいいわけではない。実は近年報告されているのが家庭内高齢者虐待である。調査事例を見てみると75歳以上の、いわゆる後期高齢者に対するものが多い。高齢者である親に対して、40~50代が主であろう世代の息子、娘、あるいはその配偶者が虐待を加えているという現実がある。
 死亡数全体に占める65歳以上の高齢者の割合は、90年には73・7%であったが02年には6・4ポイント増加して80・1%に、さらに80歳以上の高齢者の割合は38・7%(90年)が6・5ポイント増加して45・2%(02年)になっている。高齢者の死が全体の8割を超える時代になったのである。

 死亡の場所も激しく変動している。51年には自宅死が82・5%であったのが、90年には21・7%まで減少し、02年にはついに13・4%にまで減少している。
超高齢社会の到来は家族も社会をも大きく変えつつある。

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