10月28日(金)毎日新聞夕刊「特集ワイド」(私はこのページが大好きなのだが)に、秋田県に住む96歳のジャーナリストむのたけじさんへのインタビューが掲載されている(宍戸護記者)。 むのたけじさんは秋田でコツコツ発行していた『週刊たいまつ』の主幹。戦前、朝日新聞の記者として第2次大戦に従軍、昭和20(1945)年8月15日の敗戦日に、ジャーナリストとしての戦争協力責任をとって朝日新聞を辞職。以後は故郷の秋田県に帰り、『週刊たいまつ』を発行し続けてきた。私の学生時代、戦争責任をとった数少ないジャーナリストの一... 続きを読む
月: 2011年10月
私的な喪失や悲しみの記憶
各地で3・11東日本大震災についてのシンポジウムが行われ、その紹介記事が各紙に掲載されている。 仏教関係の専門紙では松本・神宮寺の高橋卓志さんが臨済宗だけではなく真宗にも乗り込んで発言している様子を報道している。南相馬市に行った高橋さんは「お坊さんならお経を頼む」と遺族に頼まれ。出棺時に経を読んで送る時、いつのまにか20人くらいの警官が集まって来て敬礼して送った、という体験を紹介したという。 岩手県警も宮城県警も未だに捜索活動を止めていない。福島県警も同様である。福島県警が原発事故の炉付近まで行って捜索し... 続きを読む
松尾さん、少々批判が過ぎましたが
松尾さま 早速の返信、反論(前回のコメント参照)ありがとうございます。私のほうも肝心の中世史の部分の紹介を省き、まことに失礼しました。 中世史の方では、神仏習合で官度僧が死穢を嫌った話は、かねがね寺院では葬式の際に柩を庭に置いたまま、中に入れても外陣までで「本尊を背に引導を渡す」などと説明されていますが、私は「嘘だろう、寺院にも死穢意識があって内陣に入れなかったのだろう」と言っていたものですから、少し補強されたようでうれしく読みました。 中世の民衆の葬法で風葬、遺棄の例は前から知っていますが、弔う者がいた... 続きを読む
学者は手を抜くな 松尾剛次『葬式仏教の誕生』
きょうは雨あまり得意ではない。 日本中世史が専門で注目していた松尾剛次さん(山形大学教授)が本を出した。『葬式仏教の誕生 中世の仏教革命』(平凡社新書)というタイトルだから買うじゃないですか。しかし、この本は、学者はよほど調べなければ専門外のことを書くべきではない、という見本みたいな本である。 「現代」という問題意識、昨年ブームになり今や急激に廃れた島田裕巳さんの『葬式は、要らない』に対抗したつもりだろうか。島田さんの本が売れたのは時代のムードに合ったからであり、本の内容は素人丸出しの程度の低いものであっ... 続きを読む