いよいよ「遺体論」に入る。あるいは「遺体」を視点とした葬制を見ることになるかもしれない。 j地味な話であるから、関心のある人だけに読んでいただければいい。 その第1回は「遺体の言語的考察」である。 「遺体」の言語的考察ー遺体論① ①「死者のからだ」を意味する語 日本語には、「死者のからだ」を示す語にはいくつかある。その代表的なものは「死体」と「遺体」である。 この2つは同じような言葉でありながら、われわれはこれを日常無意識のうちに区別して用いているように思う。どう違うのであろうか。まず、言... 続きを読む
月: 2017年9月
死後、人間の身体はどう変容するのか?―死体現象
遺体について論じる時、死体現象について知らねばならない。 病院における「死後のケア」「死後の処置」について看護職にある者は「遺体のその後」について充分な知識をもって死後の処置にあたっているとはいえない。 それゆえ「死後の処置」をもって遺体は安全になるわけではない。 遺体の変容は主として病院から出て、葬祭業者に引き渡されてから本格的に進行するのだが、一部を除いて遺体の管理に自覚的である葬祭担当者は少ない。 私は死体現象について専門家ではない。 そこで、本稿を核にあたり、以下の書籍等を参照したことを予めお断り... 続きを読む
死学ー遺体の位置づけと取り扱う者の倫理(3)
死学thanatology,death study ―遺体の位置づけと取り扱う者の倫理 の3回目 1回目は 死学 ―遺体の位置づけと取り扱う者の倫理(1)―遺体に対する考察 2回目は 死学ー遺体の位置づけと取り扱う者の倫理(2) 死学―遺体の位置づけと取り扱う者の倫理(3) 2)サナトロジー事始め (1)死学 A・デーケンが「死生学」と呼んだのは、欧米で言う「サナトロジー(thanatology)」であり、ギリシア語のタナトス(死)を表す語からきている。 英語ではdea... 続きを読む
死学ー遺体の位置づけと取り扱う者の倫理(2)
死学thanatology,death study ―遺体の位置づけと取り扱う者の倫理 https://hajime-himonya.com/?p=1539 の第2回 死学thanatology,death study ―遺体の位置づけと取り扱う者の倫理(2) 1.死学とは何か?(続き) 1)日本における現状 国際葬儀連盟(FIAT-IFTA)では「葬祭業者」をサナトロジストthanatologistと呼称している。 「サナトロジーthanatology」は「死に関する学問... 続きを読む
死学 ―遺体の位置づけと取り扱う者の倫理(1)―遺体に対する考察
遺体に関する考察 「遺体」についてはこれまで何回か書いている。 しかし、ブログではまとまった形では掲載していない。そこでこの地味だが逃れられないテーマについて、さまざまな形で書いたものを再編して掲載する。 SNSという特性の同時性とはかけ離れたものであるが、ご理解いただきたい。 しばらく続くが、関心のある方は目をとおしていただけると幸いである。 葬儀を論ずる場合に「遺体」は外せない。 しかし、過去に仏教会との関係で葬儀について書き、その中で遺体について書いたら、「残酷過ぎる」ということで、その箇所... 続きを読む