死者・遺体の尊厳を守るー葬祭サービスとは何か?(2)

■葬儀はだれのためにあるか? 「葬祭サービス」の目的は、葬儀等を十全に支援することにある。 そして葬儀等の目的を集約するならば、死者を弔い、送る(別れる)ことである。 これは一義的には死者の尊厳を守り弔うことであり、これを死者の近親者が充分に行えるように、近親者の想いに配慮して行うことである。 葬儀の葬祭事業者への発注は死者の近親者から行われるため、葬祭事業者にとっての顧客は発注する近親者であり、近親者のために葬儀を行う、と考えがちである。 それは一概には誤りとは言えない。 しかし単純すぎる。 そもそも死... 続きを読む

いくつかの報告―経王寺「ハスのカホリ」、毎日新聞「合葬墓」

経王寺 少し前の話だが、互井鑑章さんが住職の日蓮宗経王寺(東京都新宿区)の寺報『ハスのカホリ』2018年春号47号が送られてきた。 経王寺のホームページ http://www.kyoouji.gr.jp/index.html 経王寺のFacebook https://www.facebook.com/kyoouji/   『ハスのカホリ』2018年春号47号こに互井さんと私の対談「葬儀とお寺の未来」が掲載されている。   『ハスのカホリ』表紙   目次 互井住職×碑文谷創 1 2 3 ... 続きを読む

葬祭サービスの歴史的文脈ー葬祭サービスとは何か?(1)

以下、昨年度に季刊誌『CORI』に連載した「葬祭サービスとは何か?」を数回に分けて掲載する。 1年をおいて掲載するのは雑誌に対する仁義のようなものである。 掲載にあたって手を加えている。 本稿の対象は葬祭事業者である。 第1回は「葬祭サービスの歴史的文脈」である。 葬祭サービスの歴史的文脈~葬祭サービスとは何か?(1) 「葬祭サービス」という表現はいまや葬祭業を語るときに一般的な表現としてある。 しかし、その歴史は、本格化してまだ約20年にすぎない。 1955(昭和30)年以降に日本では「葬祭サービス」と... 続きを読む

火の子

新宿西口の墓地近くの古い雑居ビルの一角に「火の子」はあった。 私が通い始めたのは青木新門さんに連れて行かれたのがきっかけであった。 ママのイクさんは岩手県の盛岡の近くの出身ということで、同じ岩手県一関で生まれた私に対して親近感をもってくれた。 92-93年くらいであったろうか。 開店が73年、閉店が02年であるから、その30年の火の子の歴史の晩期に私は立ち合ったことになる。 以来、私は一人でも、あるいは仲間と連れ立って、あるいは新門さんからの呼び出しに応じて通うようになった。 この店のいいところは客同士... 続きを読む