Q.この度葬儀を行いまして、会葬御礼1500円の品物を、御香典を頂戴した方(預かり分も含む)全員に渡しましたので、金額が3000~5000円の方にはお香典返しをしない方針にしようと思ってます。この金額が一番多く大変なので。別に問題はないでしょうか?(53歳男性)
A 地方により会葬礼品と香典返しの扱い方は違っています。
会葬礼品と香典返しが一体化していて、会葬者全てに500円~2000円相当の品物を渡し、これで香典返しを兼ねてしまう地域もあります。こうした傾向は地域社会の強いところに見られ、香典は相互扶助であり、お返しにあまり気をつかわなくてもよい、という合意ができているようです。
都市部から始まり、現在主要なのは会葬礼品と香典返しとを区別する方法です。
会葬礼品はかつて「粗供養」と呼ばれ、会葬者の全てに対して渡されたものです。故人の代わりに施しを行い、その徳を故人に振り向け供養するという意味がありました。
他人に物を贈るとき「粗品」と書きますが、これはへりくだった言い方ですが、粗供養の「粗」にもへりくだった意味があります。但し、一部の人から「供養に粗はない」と批判も受けています。
ともあれ、粗供養から発展した会葬礼品は「御会葬いただきありがとうございました」という遺族(葬儀主宰者)からのお礼の表明です。金額的には500円~1000円程度が多いようです。
これに対して香典返しは日本の贈答文化である「贈物をいただいたらお礼をする」の影響を受けたもので都市部では明治時代に定着したと言われます。
「二分返し(半額程度お返し)」「三分返し(3分の1程度お返し)」と言われているものです。
かつては四十九日の満中陰(忌明)をもってお返しがされましたが、近年では「当日返し」「その場返し」と言い、葬儀当日にお返しすることが多くなる傾向にあります。
香典の平均額が7~8千円になることから2~4千円相当の品物をいただいた金額に関係なくお返しします。もっとも、3万円以上いただいた方には別に四十九日をもってまたお礼をする場合もあります。
質問者のケースでは会葬礼品を相場よりも少々高額でしたので、5千円までの方にはそれで香典返しも兼ねたとしてもよろしいでしょう。5千円の3分の1は1500円ですから、失礼にはあたりません。
返礼品の世界も時代と共に変化しています。あまり見栄をはって無理なさらず、いただいた香典をありがたく弔いに役立たせることが大切だと思います。