Q.葬儀の挨拶状を見ますと、喪主や親族代表は男性名が使われることが多いようですが、根拠はあるのでしょうか。(45歳女性)
A 確かに葬儀の挨拶状を見ると、喪主名や親族代表名が、多くの場合は男性名になっています。
男性名になることが多いのは、戦前の男尊女卑の考え方が依然として世の中にはびこっていることを示しているのでしょう。
しかし、死亡した者が男性で、その人が結婚しているときには、最近では喪主として妻の名前が記されることもよく見受けられます。これは戦後の家族の単位の基本が夫婦にあることへの理解が広がっていることでしょう。
民法の相続でも配偶者には特別な位置を与えていることが関係しているのかもしれません。
なお、喪主は法律的には祖先の祭祀を主宰する者にあたると解釈するのが妥当でしょう。この承継は「慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者」とされていますが、この慣習も戦後の男女平等思想の普及で変化しているとみるべきでしょう。
また「被相続人の指定」があった場合には、それに優先します。つまり本人が喪主になってほしい人を生前に指定しておくことができます。
実際には、まだまだ男性が女性に優先する慣習は根強く残っていることは確かなことです。しかも「冠婚葬祭」という人生儀礼の面では色濃いのが実状です。また、人前で名が出る、挨拶するとなると男性が無難とされることが少なくありません。
しかし、10年後にはこうした質問自体が出ない、男女が社会的に平等な社会になるといいなと思います。
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