Q.私は自分の家が気に入っています。死んだ後、自宅の庭に散骨してほしいのですがかまいませんか?(78歳男性)
A 散骨というのは遺骨を細かく砕き散布することをいいます。刑法では遺骨遺棄を禁じているので捨てる目的ではなく、あくまで葬送を目的として、「相当の節度」をもって行われることが求められています。
「相当の節度」というのは、第一には、原型が残らないように細かく砕いて撒くということです。第二は、他の人に迷惑がかかる、嫌がられるような場所は避けるということです。
ですから海水浴場、養殖場、生活用水として使用する川等は避けるべきでしょう。また、人々が遊ぶ公園等も適当ではないでしょう。
自分の家の庭なら誰にも迷惑がかからないと思うでしょうが、近所の人の感情を考慮する必要があるでしょう。また、その家が将来にわたって保持されるのならいいでしょうが、将来売られるということも考えられます。そういうことを考えると、散骨は海や山の大自然に行ったほうがいいと思われます。
また、形式的に細かい話をすると、散骨した場合、上に土をかけると「埋蔵」になりますから、埋蔵するならば墓地でなければなりません。墓地は許可を得た場所でなければならず、自宅を墓地とすることはできません。
散骨というのは万葉の時代にも行われたようですが、近代では新しい葬法です。誤解を受けない方法で行うのが適当だと思われます。ちなみに自宅の庭への散骨について司法の判断は出ていません。
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