葬儀Q&A

Q45 最近は香典辞退が普通?

 

Q.最近ご近所の葬式で香典辞退が流行しているようです。香典辞退が普通になるのでしょうか?(45歳女性)

A  関西では「香典辞退」が増えているという傾向は確かにあります。
 この理由にはいくつか考えられます。
(1) 香典は「助け合い」精神と言われるが、我が家は助けてもらわなくとも葬式が出せる、という自負があるため。
(2) 香典をもらうと、後で香典返しをしなくてはいけないので面倒である。
(3) 近所や知人との間で気を遣わなくていけないのが面倒。

 私の感想は「索漠とした社会になってきたな」というものです。
 そもそも「香典」とは「香奠」と書いて「香を死者に供える」という意味です。香典を受け取る人の都合ではなく、会葬に来る人の気持ち、死者を弔うという気持ちの表現としてあるのです。
 弔いの気持ちを形にしたものが香典であり、供花なのです。
 受け取ったほうも、お金ではなく、相手の弔いの気持ちとしてありがたく受け取ります。そして死後の大変な四十九日を過ぎた頃に、「おかげさまで無事に四十九日を過ごせることができました」と香典や供花を寄せてくれた方にお礼をします。

 どのくらいのお礼をしたらよいかという決めはありません。しかし、いただいた金額全部やそれ以上の金額の品物をお礼をすると、香典をくださった方の気持ちの負担になってはいけない、と考え、いただいた金額の3分の1から2分の1を目安にしようという慣習ができてきました。
 香典返しをしない例も見られます。遺族に就学期の子どもがいる場合には、残った金額は子どもの養育費用に使わせていただきます、とするのもあります。また、残った金額は社会福祉に寄付させていただきます、とするのもあります。この場合でも文書で丁重にお礼します。

 葬式でのこうしたやり取りを「煩わしい」と感じる人もありますが、葬式というのは世間的体裁や義務感でするものではありません。基本には「死者を弔う」ということがあり、遺族の悲しみに対する「共感」があるのです。
 「面倒くさいのはいやだ」という感情もわかりますが、香典や供花を辞退されると、会葬者、とりわけ故人と深い関係をもってきた人の感情の行き場がなくなり、その方々がとまどうことになります。
 香典辞退はバブル崩壊後の関西地域の流行ですが、これが拡大することは好ましいこととは思えません。お葬式とは故人への弔いの気持ちの集積だと考えるからです。

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