Q.インターネットで調べていると、葬式のときには仏壇は閉めておくと記述されているのと、仏壇は開けておくと記述されているのがあります。どちらが正しいのでしょうか?(45歳男性)
A 正解は、仏壇は開けておく、です。閉めておくのは仏壇ではなく、神棚のほうです。
家に神棚がある場合、死者が出たら神棚封じをします。これは家族外の人にやってもらいます。葬儀社に頼めばやってくれます。四十九日の間を神棚は封じておきます。
これも習俗に近いことですが、死穢が及ばないようにと説明されています。
仏教にはそもそも死が穢れであるという観念はありません。いわばホームチャペルである仏壇は開けておくのが正しいと言われています。
中には死穢という考え方から仏壇も閉めておくよう書いている本もありますが、誤解です。その誤解が地域の習慣になっているところもあります。
習俗というのは厄介なものです。葬式や火葬に行った後、家に入る前に振りかける塩、清め塩もそうです。
葬式や火葬に行くと死穢に染まるから塩で清めるという理屈です。浄土真宗では死穢はないという考えを強く出していますから、清め塩を用いることに反対しています。では他の仏教の各派はどうかというと、死穢を認めているところはありませんから清め塩はいらないのが理屈です。
清め塩を用いるのは宗派により理解が異なるのではなく、習俗なのです。この習俗に厳しい宗派と厳しくない宗派があるのです。
仏壇を閉めておくというのも、その地域の習俗になっている可能性があります。これに対し浄土宗、浄土真宗は開けておくよう強く主張しますが、その他の宗派では特に主張しないことから誤って定着している可能性があります。
死穢(死は穢れであり伝染する)という観念は日本人の中に古くからあります。関東地方で葬式のときの食事を「お清め」と言うのもその名残です。しかし、現代にあってはこの観念を一掃したほうがいいのではないでしょうか。