Q.親友と電話で話したら、私も若い頃お世話になったお母様が亡くなり、お葬式もご家族だけでなさったことを聞きました。香典でもと思うのですが、どうしたらいいでしょう?(62歳女性)
A 近年は家族葬の形態が増えてきたために、親しくしていた人の死も後から、お葬式も何もかも済んでから耳にすることが多くなりました。
親しくしていた人の場合、それを聞いて何もしないというのは気持ちが落ち着かないものです。
o その場合、香典かお花でも贈りたいと考えることは自然なことです。
予め聞かされており、「弔問、香典、供花を辞退します」と言われていたなら別ですが、まったく知らされていなかったのですから、聞いた人がその人の気持ちで行動してよいのです。
香典、供花にはいつまで贈るものという期限がありません。たとえお葬式が済んでいようと、一周忌が済んでいようと贈っていいのです。
家が近いならお友達の家を訪れ、お線香をあげさせていただき、香典を持参するという方法もあります。
しかし、家も遠い、家族の状況もわからないときには香典を郵送するという方法もあります。現金書留で送りますが、お悔やみの手紙も忘れないようにしましょう。
お花を花屋さんから届けてもらうという方法もあります。その際には大ぶりのものより小ぶりのもののほうがいいでしょう。
遺族にとって、親しい人が故人を悔やみ、手紙一つでもくれるのは力づけられる想いがするものです。故人を覚えてくれる人がいるというのはうれしいものです。
遺族としては、いただいた香典や供花に対しては四十九日や一周忌あるいは三回忌を期して(基本はいつでもいいのですが)お礼の手紙を送り、場合によっては礼品を添えます。
人が亡くなるということは、その家族だけの問題ではなく、故人と親しくしていた人の問題でもあるのです。
弔い、悔やみというのは決まった儀礼というよりは、それぞれの人間としての感情を中心に考えられていいことであろうと思います。
「葬式の案内がこなかった」と怒るのではなく、その死を耳にした時点で、その人のできる弔いをしたらいいと思います。
香典や供花については期限がないというのは、そうした人間的感情の交流の自由を保証しているものだと理解できるのではないでしょうか。