葬儀Q&A

Q57 「お清め」とは?

 

Q.関西の人間ですが、東京でお通夜にうかがったら焼香が「お清めへどうぞ」と言われました。なんか違和感がありました。(56歳男性)

A 私は関東に住んでいますが、「お清め」という言葉は今でも使われています。
 調べてみると、死には穢れがあり、伝染すると考えられており、その穢れから防御するには手を洗う、塩をかける、お酒を飲む、食事することが効果がある考えられていました。

 いわば古代の衛生思想のようなものです。塩は石鹸か薬、酒は意識を混濁させ、食事は体力をつける。死の恐怖に対抗しようとする古代人なりの知恵だったのでしょう。
 葬儀に出た後に塩を振りかけるのは海水に浸り、身体を清浄にするということからきています。塩をかけるときには両肩、両足に振りかけますが、全身を清める象徴としての動作です。

 今、葬祭業者が「清め塩」を会葬礼状に同封しますが、60年代以降に始まったサービスです。
 通夜の後に宴会のようなものが行われたのはかなり昔からのようです。
 その席が、いつかはわかりませんが、死の穢れに対抗する意味合いが与えられ、関東では「お清め」と言われる慣習ができました。

 これからは私の意見ですが、今の時代にあって「お清め」というのは時代錯誤であるし、いわれなき死に対する恐怖感、忌避感を温存するもので、変えなくては
いけない名称のように思います。  いま、「お清め」と言っても何から清めようとしているか意識している人は少ないでしょう。だからといって、慣習だからと、この言葉を使い続けるのはおかしいと思います。
 葬儀会館の会食室が「お清め室」になっている例も見ますが、宗教者、葬祭業者が率先して使用を止めるようにしてほしいと願っています。

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