Q.今度祖母の七回忌を迎えます。そもそも法事はどうやるものですか?前の三回忌までは父が取り仕切りっていたのでよくわかりません。服装もどうしたらいいのでしょうか?(40歳女性)
A 七回忌というとお祖母さまが亡くなって6年目ですね。かつては法事が大切にされていましたが、友人の僧侶に聞くと「三回忌まではするが、七回忌以降をする家庭がめっきり減少した」と嘆いていました。時代の動きが激しいので、いつまでも死者には係わっていられないという感じなのでしょうか。
家族が死者を長く想っているということを日本人は大切にしてきました。そのことはいまも変わっていないのではないでしょうか。
「千の風になって」が流行するということは、身近な死者のことを想い続けている人が多いという事実を示しているように思います。
しかし、それが以前は仏壇に毎日手を合わせることであったり、お墓参りすることであり、法事を大切にすることであったのが、形が変わってきているだけのような感じがします。
私事ですが、若い頃友人が亡くなり、同僚の者が毎年の命日には遺族と関係なく集まり、死んだ友人の思い出話をし、飲みました。それはちょうど七回忌まで続きました。
僧侶こそ呼びませんでしたが、そうして命日に毎年集まることで、各自が死者との関係を心の中で整理していたと思います。
日本の仏教では法事は大切にされてきました。まず、四十九日があります。本来は死後7日ごとに四十九日まで法事を繰り返します。初七日(7日目)、二七日(14日目)、三七日(21日目)、四七日(28日目)、五七日(35日目)、六七日(42日目)、七七日(49日目)の7回です。このうち初七日は葬儀の当日に繰り上げて行うことが多く、普通はその後三十五日あるいは四十九日に法事を行います。
四十九日の後は百か日、一周忌、三回忌(2年目の命日)、七回忌(6年目の命日)、十三回忌(12目の命日)、三十三回忌(32年目の命日)となります。3と7にちなんだ十七回忌、二十三回忌がもたれることもあります。
三回忌まではまだ悲しみが強い時期です。また、命日ということで辛い思いがぶり返しがちです。遺族のこうした悲嘆のぶり返しを記念日症候群といい、命日のほか、故人の誕生日、結婚記念日、旅行した記念日などにも起こりがちです。
七回忌(6年目の命日)ともなると通常は悲しみよりも思い出の感情が強くなります。しかし、子どもを亡くした場合などは七回忌といえども悲しみが癒えないことがあります。
法事は一般には次のように行われます。
場所は自宅あるいはお寺が本来ですが、最近は料理屋、ホテル、葬儀会館(斎場)が用いられることが多いようです。
まず僧侶による法要をします。これが肝要なことです。法要=会食と思いがちですが、法要が中心です。
その後、会食をします。まず喪主が挨拶し、僧侶に献杯(けんぱい)の音頭をとってもらい会食に入り、最後にまた喪主が挨拶し、帰りには引き物を渡すこともあります。
法事の際の服装ですが、遺族は三回忌までは黒を着用しますが、七回忌以降は黒を着用しません。黒は喪に服していることを表しているので、喪に服するのは一周忌(場合により三回忌)までだからです。その後は黒以外の服装でかまいません。
法事に招かれた人は四十九日を含め、黒を着用する必要はありません。きちんとした服装であればかまいません。むしろ黒はおかしいかなと思います。
七回忌を親戚や関係者を招いて行うのであれば、案内はできれば1か月前、遅くとも2週間前に発送し、出欠の返事をもらいます。
最近は七回忌以降の法事は家族だけで行う家庭も増えています。家族揃ってお寺へ行き、お経を上げていただき、その後、家族で故人を偲んで食事会というのもいいでしょう。
過去のことは早く忘れるほうがいいと言う人もいますが、私はそうは思いません。死者を覚えるということは現在の自分の生き方を問う意味でも大切なことです。法事はその大切な機会を提供してくれているようにも思われます。 キリスト教や無宗教では法事にあたるものは定まっていませんが、死者を追悼、追憶することは大切にしたいものです。