Q.私どもの地区では枕飯に「箸を二本縦」「箸を十字」に立てる、の2通りがあります。どのような意味があるのでしょうか…。(茨城県 45歳男性)
A この枕飯、一膳飯には正解がありません。各地域で慣習が異なっており、伝達経路が特定できないためです。飯ではなく、餅、団子の地域もあります。その混合も見られます。
いずれにしても白米が力をもっていることを示しています。力というのは死者を黄泉から蘇生させる力であったりします。
全国的に多いのは箸1本を立てるというものです。箸を下に普通どおりに横にして置く地域もあります。
私は、原型となったのは、箸を横にして下に置いたもの、あるいは2本立てるものとの仮説をもっています。
つまり死者(まだ完全には死者と認識されていない)に食べてもらおうという気持ちからです。
それが死者を死者と認識することにより、普通、日常とは違う所作を行うという慣習が現れ、それが1本箸を立てたり、十字にしたりという慣習を生んだと考えられる、というものです。
地域により、「これはこの辺りではこうするものとなっている」ということで伝わり続けたもので、慣習が「生活圏」という狭い範囲で異なったのだと思います。
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