Q.葬儀費用を考える場合に、事前に注意しておくべきことは何ですか。(埼玉県 48歳女性)
A Q82で説明したように、葬儀社へ支払う葬儀費用は、①基本葬儀料、②オプション、③葬儀社が立て替える費用、④料理や返礼品にかかる費用…から成ります。
①の基本料は、基本的にかかる人件費、祭壇設営、進行、遺体処置等、ここにほとんどが含まれています。大きな葬儀であれば人員も多数必要になるので、変わります。
②のオプションは、葬儀日数によりドライアイス等の必要量が変化しますし、棺を、セットに入っていた桐棺から布張棺に変更すればその差額が要ります。棺は遺族によって好みが違うというので、基本料とは別にオプションになっている例も多いです。また、写真の大きさや額の種類によっても変わります。それぞれのお客の好みや事情で変わるもの、これがオプションです。将来は祭壇もオプションになるかもしれません。
③は葬儀社が一時立て替えてくれる費用のことで、寝台車や霊柩車、火葬料、骨壺代などがこれに入ります。
④は「変動費」と言われるように、会葬者数や親族の数によって変動します。やってみなければわからない費用です。
総額①~④を含んだ金額と言っているところは、たとえば親族10名、その他の会葬者20名などと前提としているだけで、人数が追加になれば金額は変わります。
問題は一式総額料金の場合に内訳が明確になっているかどうかです。内訳の個別で料金が設定されていない場合、不要なものをカットしたり、逆に追加になったときにどう変わるかが予測つかないからです。
公正取引委員会が調査して問題になった一つは、最初の見積もりと請求時の金額が相違していた事例で、そのほとんどは変動費の問題でした。
たとえば「総額80万円だと言っていたのに100万円請求された」という場合、見積時には親族10人、会葬者20人としていたものが、実際には親族が30人、会葬者は40人だった、というケース。「総額80万円コースだったから、これ以上かからないと思っていた」という誤解からくるものでした。
事業者に必要なのは「これ以上一切かかりません」という安心を強調するのではなく、起こり得る問題点を事前にはっきり言っておくということです。契約における事前告知すべき重要事項を告知しなかった、として問題にされることがあります。
総額一式方式はこうした問題点がありますから、①~④を個別に料金設定しているほうが結果的には安全だということになります。
なお、①の葬儀基本料では内容が明らかになっていることが重要です。特に葬儀の質を決めるのは人的サービスです。内容本位で選ぶことが大切です。