葬儀Q&A

Q89 「事前相談、生前予約」とは?

 

Q.85歳になる父が胃がんと宣告されました。父が死んだらおそらく家族が混乱して葬式等について話し合うどころではなくなりそうです。テレビで「事前相談」「生前予約」という言葉を知りましたが、どういうことでしょうか。(56歳女性)

A 「事前相談」は、予めお葬式について本人または家族が事前に葬儀社等と打ち合わせを行うことです。
 打ち合わせを終えて「では、これでいきましょう」と合意ができ、その葬儀社にお葬式を頼む約束をすることを「生前予約」と言います。

 つまり「事前相談」は、相談先の葬儀社等に実際にお葬式を頼むかどうかは決めていない状況でも行うことができます。複数の葬儀社と事前相談を行ったうえで、どこの葬儀社に依頼するかを選択することができます。もっとも「生前予約」のために、その葬儀社と打ち合わせても、気に入らなかったり、合意できない場合には予約する必要はありません。

 意味がないなと思える事前相談の例に次のようなケースがあります。
 複数の葬儀社にファックスを送りつけ、「親族10人、会葬者30人程度の家族葬をしたいのですが、いくらかかりますか?」と回答を求め、回答があった中から最も安い金額の葬儀社に決めるということです。
 ファックスでの見積請求には回答しない葬儀社もいるでしょう。そこは情報公開が遅れている会社だとは言えません。むしろ「どんな気持ちで、どんなお葬式をしたいのか」という肝心な情報抜きで見積書を出してしまうほうが軽率だと言えます。

 よく使われる言葉に「お葬式は百通り」があります。亡くなる人、家族、その両者の関係等によってさまざまなお葬式があるのです。
 お葬式をスーパーで売っている商品のように考えるならば、今ではネットで、そういう商品としてのお葬式を売っている事業者も、それを仲介する相談センターも見つけることは容易です。そういう人はあえて実際に対面して相談するという面倒な事前相談を必要としません。

 しかし、本人が、あるいは家族が納得できる別れ方、送り方を考えているならば、その想いを伝えて相談するのがいいでしょう。
 事前相談をしておくメリットは、いざというときにきちんと対応できることです。家族の一員が死亡するということは大きな出来事です。早くから覚悟していたにせよ、その時になると違うということがしばしばです。そこで混乱したりして、冷静で客観的な判断力を失うことはよくあることです。自分の死も家族の死も正確には予知できません。その時の自分の対応も予知できません。

 人間が死ぬ確率は百パーセントですが、予知やその時の思いがどうかは不確実なことなのです。
 また、人の死の発生の不確定さが事前相談、生前予約にはつきまといます。その時になって思いが変わることがあるのです。そして、事前の判断が正しいのか、その段になった時の思いが正しいのかわからないということです。「正しい・正しくない」ということではなく、家族や死者の周辺の人にとって適切かどうか、それは判定不能なことなのです。
 家族の思いの問題としてではなく、消費者保護という点から言えば、事前相談、生前予約は遺族にとって有利に働く傾向が強いでしょう。事前であれば冷静に数字を判断するでしょうから。そうでない場合は、一時の感情に流されて、消費者としては不利な判断、契約をする危険性が高いからです。
 しかし、確実に事前相談、生前予約において守られるべきルールがあります。

①事前の取り決めはいつでも見直しし、変更可能であること。
②事前の合意ができても、支払いは常に事後が中心になるべきこと。
③事前契約・会員システムの会費は、極力低くし、相当程度を超えるときは、解約に応じ、また返金等が可能となっていること。

 ①については、人間の考えはいつ変化するかわからないし、10年以上長期になれば社会環境が変化することもあるということです。
 ②については、10年先、20年先という長期になると事業者が行き詰まり、実行できない可能性があり、保証できません。
 ③については、例として「入会金15万円」などと高額な入会金をとり、解約時に「入会金だから返金できない」と事業者が主張するのは社会的常識に反しており、消費者契約法にも違反することだからです。
 
 事前相談、生前予約には長所だけではなく危険もあります。また事業者側は消費者のリスクをなくし、安全に運用する責任を負わなければなりません。

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