葬儀Q&A

Q97 安い葬儀はいくら?

 

Q.そろそろ人生の仕舞い支度をしようと思っているのですが、葬儀は最低でいくらかかるのでしょうか?(72歳女性)

A最近多いですね。「安い葬儀」の希望が。葬儀の電話相談を受け付けているところに訊いたところ、「会葬者20人、親族10人でいくらかかる?」という電話がよくあり、数社から見積書をとってファックス等で送ると、中身を見ずにいちばん安い葬儀社を指定するお客さんがけっこういるのだとか。

「できあいのお葬式なんてないのに、それ以上詳しい情報もなしに見積書を出す葬儀社がよくいるもんだ」と聞いた私は、葬儀社の対応にも興味をもちました。あたかも「コロッケパン30個で見積書作って」と頼んでいるほうも、見積書を作るほうも、中間に入る相談センターも、同じようなものと考えているのではないか、と思ってしまいました。

ここはネットの出番、ということで「安い」「葬儀」をキーワードにして調べてみるとあるんですね。
 A社では返礼品と料理がないコースが42万円から、料理・返礼品が10人分入って63万円から。
 B社は「火葬式プラン」がお通夜・お葬式なし、返礼品・料理なしで16万8千円、「一日葬プラン」がお通夜抜き、返礼品・料理なしで32万8千円、「家族葬プラン」というのが通夜、告別式、式中初七日がありますが返礼品・料理抜きで48万8千円から。なぜか「家族葬」には式中初七日が入り、「一日葬」には式中初七日なし。

 C社の「火葬式プラン」は地域によって火葬料がかかるところ、寝台車の距離が違うので10万円から。「家族葬プラン」はなぜか親族中心の密葬で、しかし通夜、葬儀・告別式があって23万円から、返礼品・料理は別途のようです。「一般葬プラン」は安置料金、返礼品、火葬料、料理は別途のようで最低が28万円のようで、いろいろあるということでしょう。

 D社の「火葬式プラン」は17万8千円。ここは地域による火葬料の違いもなく(実際は住民かどうか、民間とか違うのになぜか一律です)、返礼品や料理はなく、僧侶を頼むことだけがオプションで5万5千円。「一日葬」が33万8千円、これに僧侶を頼むと8万5千円、料理は1人前3150円から、返礼品は1人前525円から。通夜、告別式・式中初七日で49万8千円。追加は僧侶16万円、料理は1人前3千150円から、返礼品は1人前525円から。ここがおもしろいのは寺院費用。一日葬の8万5千円の場合、手配料(葬儀社に入るのでしょう3万5千円、お布施(僧侶へ入るのでしょう)5万円と内訳を決めていること。どうもこの会社、全国で受けているが全国に営業所のある気配なし。要するにネットや電話で葬儀受注して地元の葬儀社に手配している感じ。この費用の中に手配料が入るのでしょうが、その内訳は示されていません。寺院費用のように明示したら明朗になるのに。

 E社は、「直葬」が17万5千円、但し東京都内の民間火葬場+式場利用はプラス15万円、首都圏の有料公営火葬場+式場利用はプラス5万円となっています。通夜なし告別式+式中初七日の「一日葬」は33万5千円、但し地域による火葬場+式場利用はプラス5~15万円、料理は1人前3150円から、返礼品は1人前525円から。僧侶を手配すると戒名なしが6万5千円、戒名ありが8万5千円、紹介料はなし。「自宅葬」は39万5千円、有料火葬場利用はプラス6万円。僧侶は戒名なしが14万円、戒名ありが16万円。家族葬は49万5千円、有料火葬場や式場利用のプラスは他と同じ、返礼品や料理は別途、僧侶は他と同じ。これに通夜振る舞い、精進落としの料理、返礼品が各15名分を含み59万5千円。さらに生花祭壇をグレードアップすると79万5千円となります。

 これ以上の紹介はやめておきましょう。どの会社も満足度は自分のところが一番と言っており、どんなグレードの葬祭サービスかは一切不明。
 大きな文字で「追加料金一切不要」と大きな文字で書いておいて、オプションは小さな文字で書いているというのも共通しています。

 さらに中には全国各地のサンプル調査である日本消費者協会のデータと15名など前提つきの自社プランを比較しているところも。これは景品表示法違反です。

 僧侶紹介の定額化は、大都市では実際かなり進んでいるようです。これでは「お布施」ではないですね。
 ちなみに生活保護の葬祭給付は18~21万円程度です。「納骨まで」と書いていますが、実際にそこまで含んだ運用はあまりないようです。

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