葬送用語事典

あ〜お

あおたけさいだん(青竹祭壇)

白木ではなく青竹で作られた祭壇。長持ちしないので、その人だけ用という意味がある。戦後に関西で開発。現在ではプラスティック製もある。

あとかざり(後飾り)

葬儀終了後から四十九日までの間、遺骨と位牌を安置して飾る壇のこと。この間に用いる位牌は葬儀で用いた白木の位牌で、四十九日が過ぎたら塗り位牌に変えて仏壇に収める。白木の位牌は檀那寺に納める。後飾り壇のことを「中陰壇」(ちゅういん:四十九日間のこと)とも言う。

あん(案)

神道で用いるものを載せるテーブルのこと。白木八足といい、白木製で通常のテーブルの脚は左右2本ずつなのに、左右が4本ずつ、合計8本になっている。玉串を載せるのが「玉串案」、食べ物である餞を載せるのが「餞案」と言う。

いえい(遺影)

死者の写真や肖像画のこと。

いえはか(家墓)

墓石に「○○家の墓」と刻まれる墓。家名を刻み、家族または同一姓の親族の遺骨を共同で納める形態の墓。戦前は一族単位が多く、戦後は核家族単位が多くなっている。家墓は、火葬が増えた明治後期から増えて昭和初期以降に主流となった形態で、それまで主流であった個人墓形態に取って代わった。

いこつ(遺骨)

一般に死者の骨のこと。火葬して骨になったもの、土葬されて骨化したものとがある。刑法で遺骨遺棄が禁じられているが、この場合の遺骨とは火葬の場合、火葬後の骨(焼骨と言う)の中から遺族などにより拾骨されたものを言う。

いさん(遺産)

死後に遺された財産のこと。土地・家屋・事業用財産・有価証券・現金・預貯金・家庭用財産など金銭に見積もりのできる経済的価値のあるもの。借地権・電話加入権・著作権・貸付金も含まれる。本来の相続財産以外の死亡保険金・各種保険金・死亡退職金もみなし相続財産となる。

いしょ(遺書)

死後のために書き残された文書。遺言は法律的な要件が調っていないと遺言として効力を発揮しないが、遺書自体は私的な文書である。

いぞく(遺族)

死者の家族のこと。「遺された家族」が原義。遺族の範囲は、常識的には次のようになる。〔本人が未婚の場合〕本人の親、本人のきょうだい、〔本人が既婚の場合〕本人の配偶者、本人の子供、これに結婚前の家族(親、きょうだい)を加えて考えることがある。広義でも2親等の血族が範囲。

いたい(遺体)

原義は「遺された身体」。死体は「死者の身体」ということであるが、死体が一般的な表現であるのに対して、遺体は死者と特別な関係にあった遺族・知人などにとっての死体の意。したがって遺体に対しては特別の感情があり、遺体の尊厳が極めて大切にされる。

いっしゅうき(一周忌)

1年目の命日のこと。

いはい(位牌)

元は中国儒教」の死者の霊の依り代が起源。戒名あるいは死者の名を記した木の札。通常、死亡し僧侶より戒名を授与され、僧侶が白紙に書いた戒名を白木の札の表に貼り四十九日まで用いる。それ以降は塗り位牌に換えて仏壇に納める。白木の位牌を2つ作り、一つは墓にもっていくところもある。

いんどう(引導)

本来は仏道に導くこと。葬りの前に法語などを導師が唱え死者を浄土に導いたり、成仏を宣告する。しばしば松明(たいまつ)を模した仏具を振り引導を渡す所作をするが、これはかつて火葬の火を点ずる所作の名残。土葬では鍬が用いられた。

えいたいしよう(永代使用)

墓地の一般的な使用権を示す言葉。永久に使用を許可するのではなく、承継者がいるかぎり期限を定めずに使用を許可すること。この使用を許可されたとき、使用者は永代使用料(寺院によっては永代供養料)を支払う。近年は「永代」という概念が明確でないということから、単に「使用権」と称する方向にある。

えいたいくようぼ(永代供養墓)

家族単位で墓の祭祀を行うのではなく、寺院が責任をもって祭祀する墓のこと。家族の責任で墓を守るのではないため承継の問題は発生しない。最初から合葬するのではなく、一定期間は個別に管理し、その期限が過ぎて承継者がいないときは合葬するなどと2段階になっているケースも多い。

えこう(回向)

本来は自らが積んだ徳が他に巡らされ、転じて及ぶこと。読経や布施をなし死者にそれを振り向けること。

えんばーみんぐ(エンバーミング)

日本語で「遺体衛生保全」と訳される。遺体を消毒・防腐・化粧・修復する処置。胸部または大腿部の動脈を小切開し、防腐剤を注入し血液を静脈から排出する。腹部も小切開し、ガスや腸の内容物を排出し、防腐剤を注入する。目や頬、傷口を修復する。処置後10日間程度は腐敗などの遺体変化が生じない。北米では遺体の9割に処置されるが日本での普及率は1%。血液などの廃水処理のための設備が必要。また解剖学の知識や高い技術が必要。外国人を遺体で母国に移送する際にはエンバーミングを義務づける国が多い。

えんめいちりょう(延命治療)

終末期において、治療して回復の可能性がなくなった場合でも、死期を延ばすことを目的として行う治療のこと。終末期の本人の生活の質を犠牲にして行われることも多いために批判が出ている。

おきよめ(お清め)

本来は死の穢れを払うという行為。死穢は伝染すると考えられ、これを払うために飲食を行った名残で葬儀後や通夜後の飲食を指して関東地方で使用されることが多い。現代においては表現を改めるべきだろう。

おくるまだい(お車代)

交通費のこと。「お車代」として若干の金額をお礼することも。

おぜんりょう(お膳料)

食事の費用のこと。食事の席に僧侶などがつかないで帰るとき、食事を振舞う代用として若干の金額を包んだりする。

おとき(お斎)

「料理」参照。葬儀や法事の後の会食のこと。

おふせ(お布施)

「布施」参照。一般的な意味は法要に対する僧侶へのお礼。

おわかれかい(お別れ会)

近年現れたもので歴史的には告別式の独立形態。葬儀後に2~6週間程度経過後に関係者や知人などが集まり追悼の会をもつこと。この場合、葬儀は近親者だけで行うケースが多い。軽食をとりながらの会であることも。「偲ぶ会」などの名称が使われることもある。

おわかれのぎ(お別れの儀)

火葬のための出棺を前にし棺の蓋を外し、遺族らが遺体と対面し花などを入れて最後の別れのときをもつこと。

 
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