葬送用語事典

か〜こ

かいそうれいじょう(会葬礼状)

葬儀や告別式に来て会葬してくれた人に対して手渡す礼状のこと。本来は後日に訪問してお礼する、あるいは書状を書いてお礼することを簡略化し、予め印刷しておいた礼状を当日手渡すことが慣用化した。

かいそうれいひん(会葬礼品)

「返礼品」参照。葬儀に会葬した人に手渡す礼品のこと。「粗供養」とも言う。

かいみょう(戒名)

戒を授けられ仏弟子となった者に授けられる名前。江戸時代以降、死者に戒名を授与する没後作僧(もつごさそう)が一般化したため、死者に付けられる名前との誤解も一般化した。

かすがとうろう(春日燈篭)

昭和の前期から昭和40年代までよく使われた葬具。奈良の春日神社の燈篭を模したもので、祭壇の最上部に対で置かれたことが多い。中央に位牌を納める宮殿を置き、その両横に配した。外側には四華花を配し、三具足を模した構成でしばしば用いられた。

かそう(火葬)

死体を火で焼き、骨にすること。日本は火葬率が99%で世界一。世界的には火葬率が上昇傾向にあるが、まだ土葬が主流。日本の火葬は欧米と異なり、きれいに遺骨の形状が残るよう工夫される。火葬には自治体の発行する火葬許可証が必要。火葬後に骨を拾い骨壺または骨箱に納めることを拾骨(収骨、骨上げ)と言う。火葬後に火葬許可証は火葬済の証印を押して返却されるが、これは納骨時に墓地または納骨堂の管理者に提出する。分骨するときは申請すれば火葬場で火葬証明書を発行。

かそうきょかしょう(火葬許可証)

「火葬」参照。火葬してよいとの証明書。市区町村役所で死亡届が受理された後、火葬許可申請書を提出して発行される。「埋・火葬許可証」「火・埋葬許可証」とも言う。

かそうじょう(火葬場)

遺体を火葬する施設。東京などには民営火葬場もあるが、全国的には地方自治体が経営するものが多い。

がっき(月忌)

月の命日のこと。

がっそうぼ(合葬墓)

家族単位ではなく、広く共同に利用する墓のこと。骨壺(箱)単位で収納するところと、骨壺(箱)から開けて、故人を特定できない形で収納するケースとがある。家族単位ではないため墓の承継の問題は生じない。「永代供養墓」という表現は仏教的表現ということで公営や民営では「合葬墓」という表現をとっている。

かべしろ(壁代)

神葬祭で葬場を整えるのに用いる白い布、白幕のこと。

かね(鉦)

金属製の小型のたたいて鳴らす仏具。

かみだなふうじ(神棚封じ)

神棚がある場合、死者が出ると、死忌にそまっていない他者の手で神棚を白紙を貼って封じ、死忌が及ばないようにする措置。四十九日あるいは五十日祭を終えて白紙を外す。

からきぶつだん(唐木仏壇)

紫檀・黒檀など熱帯産の木材で作られた仏壇。漆や金箔を用いた塗り仏壇(金仏壇)に比べると簡素。参照「金仏壇」。

かろーと(カロート)

元は棺を意味した「屍櫃(からひつ)」か。主として戦後の焼骨を埋蔵する墓で作られたもの。墓石の下の地下部分に設ける骨壺(箱)を収納するコンクリート製の納骨スペースのこと。戦前の墓の場合には、一般には墓石の下のスペースは土または砂利になっており、この中に骨壺(箱)から遺骨を空けて納骨していた。

かん(棺)

遺体を納めるもの。

がん(龕)

元は仏像を納める厨子のこと。かつて棺または葬列のために柩を運ぶ物のことを言った。今はあまり使用されない。

かんおおい(棺覆い)

柩に掛ける布。七条袈裟がしばしば掛けられた。

かんこつほうよう(還骨法要)

火葬後に自宅の後飾り壇に遺骨を安置して行う法要のこと。今は斎場、料理店などで葬儀後の会食に先立って営まれる例が多い。

かんぜんきとうかい(棺前祈祷会)

プロテスタントでは通夜のときに祈祷会(祈りのとき)を行うことがある。「前夜の祈り」「通夜の祈り」とも言う。

かんまえ(棺前)

祭壇の上部に飾られる宮型装飾物のこと。古くは祭壇の後ろに柩を納めた輿、あるいは柩を置いた。葬列がなくなった後運搬機能としての輿が不要になったために輿を模した宮型装飾を柩前に置いたところから「棺前」と呼ばれた。柩が祭壇前に置かれるようになって以降も名前は残った。

きあけ(忌明)

忌中を終えること。一般に四十九日または五十日祭をもって忌明とし、遺族は日常生活に復帰する。かつては一周忌をもって忌明としたこともあった。

きかさい(帰家祭)

神葬祭で火葬または納骨が終わり家に帰り霊前に無事終わったことを奉告すること。

きたまくら(北枕)

死者を部屋に安置する際に枕直しを行うが、このとき頭の向きを北の方向にすること。釈尊が亡くなったときの姿を模したと言われる。

きちゅう(忌中)

一般に四十九日または五十日祭までを言う。遺族が死亡直後に祭りなどに参加せず、こもって弔いに専心する期間のこと。遺族は死穢に染まっているので隔離されたという意味もあった。このことから真宗僧侶を中心に忌中という言葉を改めるべきとの議論もある。参照「還浄(げんじょう)」。

きちゅうばらい(忌中払い)

葬儀後の会食を指す地域的表現。「料理」参照。

きちゅうびき(忌中引)

同「忌中払い」。

きちゅうふだ(忌中札)

死者の出た家の玄関に「忌中」と書いた札や幕を貼ること。

きとく(危篤)

病気が重くなり死ぬ危険が切迫すること。

きゃはん(脚絆)

参照「死装束」。仏衣を死者に着せるとき、脚に巻くもの。かつて旅に出るとき歩行の便のため長い布を脛に巻いた。死者は修行のため旅に出るとのいわれから。

きゆう(帰幽)

神道で死亡することを言う。

きょうか(供花)

葬儀などで死者に供える花のこと。遺族・親戚・知人・関係企業などが供える。造花である花環(花輪)、常緑小高木の樒、生花が用いられる。寺で仏に対して供える花は供花または供華と書き「くげ」と読む。

きょうかたびら(経帷子)

参照「死装束」。一般に「仏衣」と言う。麻や木綿などで作り経文などを書いた。着せるときには生前とは逆に左前とする慣習。

きよはらい(清祓)

神事の前後に身を清めるために行う祓え。「おはらい」に同じ。忌明に際して神道では五十日祭の後に清祓の儀を行う。

きよめじお(清め塩)

古くは身を清めるには水や海水が用いられた。葬式に出ると死の穢れに染まったとして、帰ってくると玄関前で手を洗い、塩を身に振りかけた。肩や足にかけるのは海水に全身を浸したことの象徴行為。戦後になり葬祭業者が会葬者サービスとして小さな紙包みの塩を開発して一般化。死を穢れと見る考えだと近年では使用を止める動きも。

きんぶつだん(金仏壇)

杉や松などを素材とし、漆を塗り金箔仕上げした仏壇。「塗り仏壇」とも言う。仏壇としては原型。大正期以降に仏壇が大衆化し唐木仏壇が登場し主流となったため、今では真宗で用いられることが多い。

くぎうち(釘打ち)

出棺に際して柩の蓋をし、遺族が釘を石で打って封じる民俗慣習。元は葬列で柩を運ぶ際に倒したときに遺体が飛び出ないように縄を巻いた。それが釘打ちに替わった。石で打つのは石に呪力があると信じられたため。死霊を封じるという意味があることから、釘打ちはやめるべきとの議論も。

くげ(供華)

仏堂などで仏前に供え荘厳(しょうごん)する花。これに由来するが葬儀で花を供えることは「供花」と書き、「きょうか」と呼び区別するのが通例。

くじらまく(鯨幕)

葬儀の式場の周囲あるいは内側に張り巡らす黒白の縦縞の幕。使用は昭和以降か。

ぐそく(具足)

道具のこと。

くもつ(供物)

葬儀などで死者に供える物(盛籠、果物、線香など)のこと。遺族・親戚・知人・関係企業などが供える。供物は供花に比べ、より関係の深い少数の人が供える傾向にある。

くよう(供養)

「供給資養」からきた言葉。仏・宝・僧の三宝に供え物をし資養することから死者(の霊)に供え物をし死者を養うという意味になった。供花、香典、供物は全て供養のためであり、葬儀や法事を行うことも、会葬者に品物を配って徳を積むのも供養として行われる。仏教の構造では仏に供養しこれを死者に振り向けるという回向の形になる。

ぐりーふ(グリーフ)

英語で「死別の悲嘆」のことを言う。死別を体験した遺族は悲嘆に陥り、場合によりショックを受け無反応になったり、怒りが他者や自分に向けられたり、抑鬱状態に陥ることがある。

けんあん(検案)

法律用語では死体を調べ医学的に事実的に確認すること。警察医などが行う死体の検案を「検死」とも言う。

けんか(献花)

生花を捧げること。埋葬地や事故死の現場などに死を悼む行為として広く行われているのは世界共通。葬儀においての使用は、日本ではキリスト教葬儀で仏教の焼香の代わりになる告別行為として始められた。無宗教葬でも一般化している。

けんし(検視)

警察や検察が死体を取り調べること。

けんし(検死)

「検案」参照。

げんじょう(還浄)

参照「忌中」。真宗で「忌中」という用語はふさわしくないという議論から代わりに提唱された用語。「帰浄」とすべきとの意見もある。

けんたい(献体)

医学部や歯学部の学生の教育のために行われる解剖実習に死後の遺体を供することを無償で行うこと。生前に自分の意思で家族の同意を得て大学に登録しておく。献体遺体に対する解剖を「正常解剖」と言う。解剖実習後は大学の責任で火葬され遺骨は家族に返還されるが、引き取り手のいない遺骨は大学の責任で合祀墓に納められる。死後48時間いないの引き取りが希望されている。

けんとう(献灯)

葬儀の開式時などにローソクに火を点ずること。また、焼香に代わる告別行為として、あるいは死者を追悼する催しでの追悼行為としてローソクに火をつけ捧げること。

けんにん(検認)

家庭裁判所が遺言を検査し調べて認定すること。

こうえいぼち(公営墓地)

地方自治体などの公共団体が経営する墓地。一般に住民に対して使用が認められる。

こうでん(香典)

香を供養のために供えることに由来する。現在では会葬者が弔い行為として金銭をもちよること。樒などの香木を墓に供えたことが最初か。香を供える行為を葬式を出す行為の象徴と理解し、葬式を出す資材として食料やお金を供えるようになったと思われる。正式には「香奠」と書く。「香典」の「典」は「奠」が常用漢字(かつては当用漢字)にないための当て字。

こうでんがえし(香典返し)

参照「返礼品」。香典へのお礼として遺族が品物を返すこと。

ごうどうそう(合同葬)

葬儀の主催が複数組織にまたがったときの葬儀。遺族と会社、複数の会社、会社と団体などの組み合わせがある。

ごぐそく(五具足)

仏前供養のため、香炉を中心にその両横に燭台を置き、その両外側に花立て(華瓶)を配したもの。「五物具足」の略。三具足から発展し、今では正式な法要のときの配し方とされる。葬儀は臨時の法要なため三具足で行われるのが通例(真宗は除く)。

こくべつしき(告別式)

 葬儀での故人との別れの儀式。葬列が廃されて誕生したもので、葬儀式に引き続いて行われる。現在では葬儀式と同時並行的に進行する形式が多い。告別の方法には焼香、献花、玉串奉奠がある。最近は、告別式を独立させて「お別れ会」として行われることがある。

こし(輿)

屋形の中に人や神様などを乗せ、2本の木の棒を担いだり引いたりして運んだ物。明治期に葬列で柩を運ぶのに用いられた。霊柩車の宮型、白木祭壇の宮型はこの輿の名残。

こつあげ(骨上げ)

同「拾骨」。

こつつぼ(骨壺)

遺骨を収納する壺のこと。骨箱を使うケースも。地域により拾骨する遺骨の量が異なるために大きさが異なる。また、本骨(喉仏、実際には火葬時に溶けるので第2脛骨、白骨ともいう)と胴骨(その他の部分の骨)を分けて収納する地域もある。

ごほうごう(御宝号)

真言宗「南無大師遍照金剛」と唱えること。

こめいしょうこう(呼名焼香)

同「指名焼香」。

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