葬送用語事典

は〜ほ

はか(墓)

死体または火葬後の焼骨を収めるところ。墓地と納骨堂がある。墓地には一基ずつ独立した形態の墓所と共同で使用する形態の墓所とがある。納骨堂は複数の焼骨を預かる施設のこと。見分け方は屋外の施設が墓地、屋内の施設が納骨堂。納骨堂では一時預かりもする。

はしわたし(箸渡し)

拾骨の仕方の習俗。この世とあの世の間の三途の川を橋渡しすることを「橋」と「箸」が同音であることから行われる。昔は箸でつまんだ遺骨を順に渡していったと思われる。現在は2人が組になり遺骨を拾い骨壷に収める方式が一般的。地方差がある。

はっきゅうさい(発柩祭)

神葬祭で葬場祭に先立ち自宅を出棺し、葬場に向かう際に営まれる。しばしば省略される。

はっこつ(白骨)

通常は風雨にさらされ白くなった骨を意味する。葬儀においては喉仏を指し、特に大事にされる。実際の喉仏は火葬時に溶解するため似た形の第2頚骨が代用される。「本骨」とも言う。古代において白骨化することをもって成仏の徴」と見た象徴か。関西では特に白骨をもって遺骨を象徴する。

はなわ(花環・花輪)

参照「供花」。輪の形に造花や生花を作ったもの。慶弔に供える。今は造花が多い。葬儀ではかつては売り切りであったが、現在ではレンタル形式になった。

ひがん(彼岸)

川の向こう側を表し、この世に対しあの世を意味する。これから死者を追悼する季節の意味としても使用される。春彼岸は春分の日を中日とする7日間、秋彼岸は秋分の日を中日とする前後7日間。墓参をする慣習がある。

ひたん(悲嘆)

英語ではグリーフ。近親者の死別によって生じる強い悲しみのこと。死別の悲嘆を経験した遺族によって営まれる作業過程をグリーフワーク(喪の仕事)といい、死別の悲嘆に陥った人へのサポートをグリーフケア(悲嘆の援助)という。・グリーフワーク

ひつぎ(棺)

遺体を納める物。明治以降に遺体が仰向けに寝た形で収まる寝棺(ねかん)が主流となったが、江戸時代までは座った形で収まる座棺が使用され土葬用には現在も一部残る。日本では木棺が主流。ダンボール棺も現れている。英語ではコフィンと言うが、上等な棺は宝石箱から転じたキャスケットと言う。

ひつぎ(柩)

「棺」は遺体の容器を意味するが、「柩」は特に棺に遺体が収まった状態を言う。

ふうそう(風葬)

山奥や海岸の洞窟内に死体を運び、自然のままに骨化するに任せる葬法のこと。風葬の葬地は神聖な場所とされた。今では容認されていないが日本では中世までの庶民の死体の葬りとしてはポピュラーなものあった。

ふくそうひん(副葬品)

火葬時や納骨時に一緒に収める遺品などのこと。

ふせ(布施)

仏教では布施は悟りを求め修行する菩薩が行うべき6つの実践徳の一つ。施す人も施される人も施す物品も本来的に空であり、執着(しゅうじゃく)心を離れてなされるべきものとされる。(1)財施(仏教の教えへの感謝の表しとして僧侶などに金品を与えること。葬儀や法事での布施はこれにあたる)、(2)法施(ほっせ:正しい仏法を説き精神的な施しを行うこと。僧侶が法要を行ったり法話をしたりするのはこれにあたる)、(3)無畏施(むいせ:困った人に親切にしたり、不安などを感じている人に安心あんじんを施したりすること)、の3つに分類される。

ぶつい(仏衣)

参照「死装束」。浄土真宗を除く仏教徒が死装束とする慣習のある装束。

ぶつぐ(仏具)

仏前を荘厳(しょうごん)したり、仏事に用いる道具。

ふくみわた(含み綿)

遺体を整えるとき、頬が落ち込んでしまっていた場合に頬に綿を入れ頬ヲ膨らませること。

ふはい(腐敗)

死体は死後に血流が止まることにより生命活動を停止するので胃腸から腐敗を開始し、全身に及ぶ。腐敗が進行し、遺体の尊厳が失われることを恐れるため、死後の短い期間に葬儀が行われ、火葬または土葬される。

ふんぼ(墳墓)

墓地内に設けられた個別の墓のこと。個人単位の個人墓、夫婦単位の夫婦墓、家単位の家墓、共同利用の共同(合葬)墓などの形態がある。遺骨を埋蔵する場所、施設のこと。一般にその上には墓石が建てられるが墓石のないのもある。参照「墓所」。

へいはく(幣帛)

神道で用いる。「みてぐら」とも言い神への進物のこと。紅白の絹1反または紅白の紙を幣串(へいぐし)に挟んだもの。

へんれいひん(返礼品)

同「お返し」。葬儀では、通夜や告別式への会葬者に対して会葬の返礼としての会葬礼品、通夜に来て通夜振る舞いに出席しない人への通夜振る舞いの代用としての通夜返し、香典をいただいたことへの返礼品(香典返し)、法事などへの出席者へのお礼の引き物、葬儀を手伝ってくれた方へのお礼、などがある。香典返しは都市などでは明治期以降、忌明を期して行われたので忌明返しともいう。近年では、香典返しも葬儀の香典をいただいた時点で行う即日返し(その場返し、当日返し)が増えている。日本の贈答儀礼の影響で、2分返し(半額相当の品物を贈る)や3分返し(3分の一相当の品物を贈る)が標準化しているが、中にはお返しの代わりとして福祉施設などに寄付する例もある。

ほうえ(法会)

仏を讃歎(さんたん)し、仏教の教え(法)を説き、施物を供養すること。「法要」と同じ。

ほうごう(法号)

戒名の中心部の2字。本来こ戒名。位号の上にくる。仏弟子としての名。「法名」とも。

ほうじ(法事)

本来は法会、法要と同じ。転じて葬祭、追善供養の法要を意味するようになった。「仏事」と同じ。

ほうみょう(法名)

浄土真宗では戒がないので仏弟子としての名は「法名」と言う。

ほうめいばん(芳名板)

供花を供えた人の名をいちいちの花に名札をつけて示すのではなく、名前だけを別に一覧にして示す形式のこと。芳名板を利用するときは並べ順は意味をもたないということで「順不同」とし、あいうえお順に掲載するのが通例。

ほうよう(法要)

同「法会」。

ほうわ(法話)

僧侶による仏教の教え(法)の話。「説教」とも。葬儀では通夜の法要の後や法事の法要の後にしばしば僧侶により行われる。

ぼくし(牧師)

プロテスタント教会の教職。プロテスタントは「万人祭司」を原則とするので聖職者とは認めておらず、礼拝の説教を勤めたり、教会に責任をもつ専門職のこと。

ぼしょ(墓所)

一般的には墓地内の墳墓を設ける区域を言う。通常の形態は隣接との境界線を明らかにするため外柵を設け、地面下に遺骨を収納するカロートを設け、上には記念碑となる墓石を置く。

ぼせき(墓石)

墳墓に置かれる石。参照「墓所」。

ぼだいじ(菩提寺)

家族の墓所がある寺のこと。参照「檀那寺」。

ぼち(墓地)

法律的には「墳墓を設けるために、墓地として都道府県知事の許可を受けた区域」のこと。

(1)公共団体の公営墓地
(2)宗教法人がその構成員の宗教的祭祀のために使用許可している寺院境内墓地
(3)宗教法人や財団法人などの公益法人が経営して相互の自由な契約に基づき使用される民営法人
(4)地域住民などが共有し古くから使用実績のある共葬墓地
の4種類の形態がある。

ぼん(盆)

俗に「お盆」。盂蘭盆会(うらぼんえ)の略。民間習俗としては死者の霊が帰るときと言われ、7月15日前後に行われる。新暦の7月に行われるところもあるが、旧暦に近い1ヶ月後の8月15日前後に行うところが多い。迎え火を焚いて迎え、送り火を焚いたり灯篭を流したりして見送る。盆棚や施餓鬼棚を作ったり、仏壇前に灯篭や提灯など飾る。死後最初に来る盆を新盆(にいぼん)、初盆(はつぼん)と言い、特に大切に行う。盆踊りは生者と死者が一緒に踊っていると理解されている。

ほんそう(本葬)

後日に社葬などを行うとき、死亡直後には近親者のみでの密葬を行い、社葬を本葬として営む。実際の授戒・引導などの葬儀式は密葬で済ませてあるので本葬とは称するが機能としては告別式の独立形態となる。

ほんぞん(本尊)

崇拝の中心となる仏・菩薩像。宗派や個別寺院により異なることが多い。形は木像・絵像・曼荼羅・名号など。寺院での法会では寺院の本尊の前で営み、自宅では仏壇の本尊の前で営むが、斎場など他の場所での法事などでは絵像・曼荼羅・名号が掛けられたり、据えられたりして営まれる。

ほんどう(本堂)

本尊を安置する堂のこと。

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