■「無宗教葬」の用語は適切か?
日本人には「無宗教」が多いと言われる。だが、この「無宗教」は、国際的には誤解を招く表現である。「無宗教」とは「宗教を信じない」ことを意味しているからだ。やさしく表現するなら「神も仏も信じない」ことである。
日本人に、言葉の本来の意味での「無宗教」の人がいないわけではないが、多くはそうではない。「特定の宗教宗派に属していない」ことを意味することが多いからだ。
実は「無宗教葬」にも同じことが言える。「特定の宗教宗派の儀礼にのっとらない方式で営まれる葬儀」という意味で用いられる。
だから、ある人は「超宗教葬と呼ぶべきだ」と提唱する。弔うという行為には何らかの宗教的感情が伴うのであるから「無宗教葬」と称するのは適当ではないという主張である。
僧侶や宗教者を招かなくても、そこに死者を悼んでの黙祷が行われるなら、それは「無宗教葬」ではあり得ないという主張である。
もし「宗教を信じない」意味での無宗教葬であるならば、葬儀式はないはずである。故人とのお別れである告別式のみがあるのである。だが、故人を弔うことはするが、その方式は特定の宗教宗派の儀礼方式にのっとっては行わないという意味での無宗教葬であるならば、(あえて独立して営むだけの内容をもちうるかどうかは別として)葬儀式はある。
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