密葬と無宗教葬

「無宗教葬」考(2)

■無宗教葬の方法
 最近では「無宗教葬の式次第」や「無宗教葬用の祭壇」を用意している葬祭業者もいる。「無宗教葬はどうやったらいいのですか」と質問してくる消費者もいる。「無宗教葬」という決まった方法があるみたいである。
 しかし、「曹洞宗の喪儀法」「カトリックの葬儀」「神葬祭」と並んで「無宗教の葬儀」があるわけではない。
 特定の宗教宗派の儀礼方式によらないのが無宗教であるから、決まった方式がないのである。進め方は自由である。
 だが「進め方は自由」と言われると困ってしまう。そこで多少通常の葬儀式の進め方を参考にして、そこから特定の宗教色を排除したものを「無宗教の葬儀」ということで示すことになる。
 そこでわれわれもこの例を一つ上げてみよう。
 
  1前奏曲
  2献灯
  3開式の挨拶
  4思い出
  5黙祷
  6葬送の言葉
  7代表献花
  8遺族代表挨拶
  9一般献花
 10閉式の挨拶
 11後奏曲
 
 音楽が使われるのは最近の流行でもあるが、お経の音楽性の代用という意味もある。
  4の「思い出」はビデオやスライドを用いて故人の生涯を振り返るというものだが、代わりに葬儀委員長の式辞で生涯を振り返ることもある。
  6の「葬送の言葉」は弔辞のことで、「弔辞」「お別れの言葉」としてもいっこうにかまわない。
 告別方法は、無宗教葬では献花が定番になっているが、焼香でもよい。
 先に火葬を済ませていれば、 3の「開式の挨拶」の後に葬儀委員長、喪主による「遺骨入場」がある。参列者は立って迎える。同じく、 9の「一般献花」の後には「遺骨退場」が来て、これを参列者が立って見送る。
 火葬場に向かう場合には、近親者によるお別れの儀(柩に花を添えての対面)を経て出棺する。このときには宮型霊柩車を使用しない。
 ここで「思い出」あるいは「式辞」は読経や引導の役割に対応している。もちろん無宗教葬に定式はないから、これは一例にすぎない。

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