今の葬儀の変化について聞かれることが多い。
若い記者がきても、50代未満はバブル崩壊後の人たちである。
「高度経済成長期」といってもすでに歴史の話である。
今、個人化が進んでいる葬儀を当たり前として育った世代が中心になっている。
以下は問われて急いで書いたメモである。
2回に分けて掲載する。
葬送について、今は戦後第2の変革期の途上にあります。
墓については80年代末来の、葬儀については95年来の大きな変革期にあります。
これは高齢者の世代交代、高齢化、家族解体、ターミナルケアとかさまざまな社会変化に照応しています。
戦後では高度経済成長期、特に都市化を背景に葬送は大きな変化をしましたが、その論理が日本経済同様に変化を強いられています。
《第1の変革期 高度経済成長期の変化》
60年代~80年代の戦後第1期の変化は、
墓でいえば、都市化に伴い、大都市周辺に墓地需要が広がり、結果として家墓ならぬ核家族墓が主体となり、民営墓地が現れ、これを背景に墓石の高級化が主流となりました。
60年代以降火葬率が6割を超え、80年には9割超えしたことも大きな変化です。
葬儀では宮型霊柩車、祭壇の普及、会葬者数の増大、これらにより社会儀礼化が進みました。
バブル期には個人の葬儀でも会葬者が300人前後というのが少なくない状態で、会葬者の7割が生前の故人を知らない人が占めるようになりました。
高度経済成長期の流行が画一的であったのと同様に墓も葬儀も画一化が進みました。
本来の喪服は遺族・親族の着用するもので、これは世界的にもそうなのですが、日本では黒を会葬者までが着用する「仏事の礼服化」が進行、浸透しま
した。
死亡の場所は、1955年当時は7~8割が自宅で、つまり生活の中での死であったのが現在では自宅での死が12~13%、8割以上が病院等生活の場以外での死が一般的になりました。
戦後、医療では高度化が進み、延命治療があたりまえのように行われました。
こうした時代状況について反発するように出てきたのが第2の変化です。
(続く)