葬祭サービスの歴史的文脈ー葬祭サービスとは何か?(1)

以下、昨年度に季刊誌『CORI』に連載した「葬祭サービスとは何か?」を数回に分けて掲載する。 1年をおいて掲載するのは雑誌に対する仁義のようなものである。 掲載にあたって手を加えている。 本稿の対象は葬祭事業者である。 第1回は「葬祭サービスの歴史的文脈」である。 葬祭サービスの歴史的文脈~葬祭サービスとは何か?(1) 「葬祭サービス」という表現はいまや葬祭業を語るときに一般的な表現としてある。 しかし、その歴史は、本格化してまだ約20年にすぎない。 1955(昭和30)年以降に日本では「葬祭サービス」と... 続きを読む

火の子

新宿西口の墓地近くの古い雑居ビルの一角に「火の子」はあった。 私が通い始めたのは青木新門さんに連れて行かれたのがきっかけであった。 ママのイクさんは岩手県の盛岡の近くの出身ということで、同じ岩手県一関で生まれた私に対して親近感をもってくれた。 92-93年くらいであったろうか。 開店が73年、閉店が02年であるから、その30年の火の子の歴史の晩期に私は立ち合ったことになる。 以来、私は一人でも、あるいは仲間と連れ立って、あるいは新門さんからの呼び出しに応じて通うようになった。 この店のいいところは客同士... 続きを読む

個人化時代の葬儀(2)‐弔いのあり方

個人化時代の葬儀(2)―弔いのあり方 昨日(2018年2月4日)の朝日新聞「弔いのあり方」第1回「お葬式」について昨日1回目を書いた。 https://hajime-himonya.com/?p=1560 きょうは私が寄せた談話について書く。 談話をまとめた高橋記者も苦労したことだろう。 何せ中世から現在までの葬送の転変を、私が寄り道しながらダラダラ話したものをまとめるのであるから。 しかも取材に来た翌日昼には原稿にしてメールで送ってくるという早業! 18時には修正して戻してほしい、という。 取材にき... 続きを読む

個人化時代の葬儀(1)‐弔いのあり方

個人化時代の葬儀①―弔いのあり方   朝日新聞(2018年2月4日)に「弔いのあり方」(全4回)の1回目「お葬式」が掲載された。 1ページだてである。   https://digital.asahi.com/articles/ASL2200C7L21ULZU01C.html?iref=comtop_8_06   主旨は 団塊の世代が高齢化し、“多死社会”が本格化します。大切な家族が亡くなったら、どこに相談すればいいのか。葬儀の費用はいくらかかるのか。自分が眠る墓はどうするのか――。お葬式やお墓への不安... 続きを読む

上野創『がんと向き合って』を読む

上野創『がんと向き合って』を読む ■「がんとともに生きる」 今朝(2018年2月4日)の朝日新聞朝刊を読んでいて気づいたのは「がんとともに生きる」という記事がさまざまな形で取り上げられていたことであった。 がんに罹ったことで退職を強要されることもまだまだ多い、という現実には心を痛める。 がん治療が相変わらず過酷なこと。 体力はもとより精神的にも大きな揺れをもたらすこと。 小児がんで子どもを亡くされた親たちの会で聴いた話は今でも鮮烈である。 (きょう明日掲載と聞かされていた「弔いのあり方」が掲載されていたが... 続きを読む