藤井正雄先生のこと

宗教学者、大正大学名誉教授である藤井正雄先生(1934年生まれ)が6月9日にお亡くなりになった。83歳。 浄土宗僧侶(お父上は浄土宗門主、知恩院85世、増上寺84世の藤井實應師)。 仏教と民俗の関係についての研究の第一人者である。 「仏教の民俗化、民俗の仏教化」は名言。 1990年以降は生命倫理に強い関心をもたれ、京大再生医学研究所倫理委員会委員、日本生命倫理学会会長も歴任された。 若い頃、当時気鋭だった学者仲間には奈良康明、佐々木宏幹、山折哲雄、伊藤唯真氏らがいる。 私の関心から言えば、先生は葬送と仏教... 続きを読む

「孤独死」「無縁墓」は再考を―中外日報コラム①

  仏教関係の新聞『中外日報』2018年4月20日から5月18日まで4回にわたってコラムを掲載した。 これについては後で紹介するつもりであったが、予想よりも早く中外日報ホームページに1回目が掲載された。 「孤独死」「無縁墓」 価値観伴った不当な言葉  www.chugainippoh.co.jp/rensai/zuisou-zuihitu/20180420.html   そこで慌てていったんアップしたが、少し注を入れよう、ということで再アップする。 以下が原文に注を加えた... 続きを読む

いくつかの報告―経王寺「ハスのカホリ」、毎日新聞「合葬墓」

経王寺 少し前の話だが、互井鑑章さんが住職の日蓮宗経王寺(東京都新宿区)の寺報『ハスのカホリ』2018年春号47号が送られてきた。 経王寺のホームページ http://www.kyoouji.gr.jp/index.html 経王寺のFacebook https://www.facebook.com/kyoouji/   『ハスのカホリ』2018年春号47号こに互井さんと私の対談「葬儀とお寺の未来」が掲載されている。   『ハスのカホリ』表紙   目次 互井住職×碑文谷創 1 2 3 ... 続きを読む

聖たちの世界ー葬祭仏教の史的展開(3)

葬祭仏教の史的展開 1 葬祭仏教の誕生https://hajime-himonya.com/?p=1513 2 葬式仏教と葬祭仏教https://hajime-himonya.com/?p=1555 3 聖たちの世界(今回) ■仏教伝来 圭室の『葬式仏教』の本文の書き出しはこうである。 日本人の信仰基盤は自然崇拝であった。それは私たちを取りまく自然のなかで、自分たちに有益なものにたいする依頼、そして危険なものにたいする恐怖、という相対立する二つの感情の、率直な宗教的表現である。 圭室はこの先、古代からの神... 続きを読む

葬式仏教と葬祭仏教ー葬祭仏教の史的展開(2)

72歳になった。 「まだ若い」との世辞を聞くこともあるが、それは社会のすさまじいまでの超高齢化を背景としており、人間の自然としては老齢である、と自覚している。 70歳は「古来稀なり」であることを自覚している。 しばらくブログを放置していたが、少しずつ書いていく。 ブログを書いていると、「書きかけ」というのをしばしばする。 次を展開しようと思っているのだが、つい違う話になってしまう。 このブログでもいくつかの書きかけがある。 その一つが「葬祭仏教の史的展開」である。 「葬祭仏教の誕生」を書いたのが2017年... 続きを読む