「墓(墳墓)」の使用権、祭祀財産、無縁墳墓の改葬―「改葬」問題のコンテキスト(1)

これから書くのは、12月24日に書いた「遺骨の定義、散骨ー「改葬」を論じる前に」 https://hajime-himonya.com/?p=1464 の続きである。 「改葬」問題のコンテキスト① 「墓(墳墓)」の使用権 「墓」を購入する時に支払うのが「永代使用料」と言われる。 近年は誤解を避けるために「使用料」とされることもある。 「永代」という言葉が「未来永劫」と誤解されることが多いからである。 「永代使用権」とは「期限を定めず、使用者がいる限り使用できる権利」ということ。 また「使用料」というのは... 続きを読む

遺骨の定義、散骨ー「改葬」を論じる前に

「改葬」とは「墓地、埋葬等に関する法律」(「墓地埋葬法」。かつて「墓埋法」と略すのが一般的であったが、近年変化が見られる)第2条3項に次のように定義されている。 この法律で「改葬」とは、埋葬した死体を他の墳墓に移し、又は埋蔵し、若しくは収蔵した焼骨を、他の墳墓又は納骨堂に移すことをいう。 ちなみに「埋葬した死体」とは「土葬された死体」(年月が経過すれば骨化して「遺骨」になっているだろうが、墓地の墳墓(一般にこれを「お墓」と言う)に入れた状態を言う)のこと。 「埋蔵した焼骨」とは火葬後の遺骨(=焼骨)を墓... 続きを読む

「宇宙葬」の可否?! クイズ番組に出す不見識

昨日の夜クイズ番組を見ていたら、 「宇宙への埋葬は可能か?」(この通りの表現だったかどうかは?だが)という質問が出された。 「可能」が正解とされたが、出題そのものが不見識である。 これはやらせである。「宇宙葬」を手掛ける銀河ステージあたりが仕組んだのだろう。 http://ginga-net.com/plan/space/ 法的規制はない。だから「いい」とは言えない。私はこの「宇宙葬」なるもの、人の夢を利用した「えげつない商法」だと思っている。 事業開始後数年経過して、新しいニュースでもないのに、この会社... 続きを読む

「自然葬」はどこへ?

新年早々驚いたことは「葬送の自由をすすめる会」の会長を島田裕巳さんが辞めたことを知ったことだ。機関紙『再生』100号が送られてきて知った。 島田さんのブログでは11月20日に辞めた事実のみあっさり書かれていた。 11月20日の総会前に事実上決まっていたのだろうか、総会ではあっさりと辞め、反対派が圧倒的に多数を占めたようだ。 ... 続きを読む

家墓(イエハカ)の誕生史など

「墓(ハカ)」の問題が動き出したのは80年代の末。戦後、旧民法に替わり新民法になり、「家(イエ)」制度が消えたのに、墓は家制度の残滓である慣習を引きづったままであった。90年代には「うちは子どもが娘だけだから墓の跡継ぎがいない」と真面目に言っている人が多いのには驚き、呆れた。しかし墓園業者、寺院の中にも真面目に言うのがいたのには腹が立った。 しかし、日本人の墓は高度経済成長期以降、実は既に大きく変質していた。大都市近郊に民営墓地が増加したのは都市化により地方から都会に移動して、都市近郊に居を定めた核家族世... 続きを読む