雲と酒と

10月に入り、感情の起伏に富んだ日々を過ごしている。
「まっとうであること」これはどういうことなのか?
自らの弱さを自覚しつつ、苦吟している。

楽しい酒の話。

10月2日は駿台トラベル&ホテル専門学校にライフステージ・プロデュース学科にフューネラルビジネス科という夜間の1年制のコースがある。たまに1年に1回くらい学科長の大竹さんからメールをいただき、私が1年間に書いた論稿の中からテーマを選んでくれて、話すようにと言われる。

今年のテーマは「変わりつつある葬儀の課題」という論稿についてのもの。この原稿は多岐にわたって書いたので、結構長い。90分授業の2コマでは話しきれない内容だ。

大竹さんは、それを察して、事前に学生さんらとその論稿を読んでくれていた。
それをいいことに当日はかなり自由に、あちこち脱線を繰り返しながら話すことができた。
熱心に聴いてくれて、思わず力が入った。
いい聴衆に恵まれることは、講演料よりも、話し手にとっては大切なことである。

学生に混じって数人の卒業生も来てくれていた。彼らの期の卒業制作の葬儀で私は遺体役をしたという因縁で、この期の人たちとはその後も交流がある。

講義は18時半から21時半まで。終わって彼らいきつけのお食事屋さんに行き、呑んだ。
利害関係もなく、葬送に関心をもって係ろうとしている私よりも若い(中にはちょっとしか歳の差がない人もいるが、彼らも気持ちが若い)人たちと呑みながら話すのは、とても楽しい。
講義から呑み会まで充実した夜であった。

10月10日には大竹さんとDさんと池袋のジュンという店で呑んだ。
この店はもう20年以上通っている(最近は年に2回くらいだが)。渡辺さんという73歳になる、もっと若く見えるマスターがしているレトロな店だ。
私のいきつけの店はどんどん店じまいしていて、ほんとうに残り少ない希少価値の店。
今回初めてお会いしたのだが、電話では渡辺さんから聞いていた、渡辺さんのお嬢さんがカウンターの中にいた。跡継ぎを得て、渡辺さんも嬉しそうだった。

この夜、3人で何を話したのか全くもって覚えていないのだが、途中でボトルを入れ替えて、D君が「もうこんな時間ですよ」と言ってくれるまで、時間の感覚をなくして呑んだ。
久しぶりに自宅に帰ったのが1時近く、10年ぶりくらいの午前様であった。

この2人は私の死後の葬儀の面倒をみると言ってくれている。
自分としては、あんまりいい死に方はしないだろうとほぼ確信しているが、それでも面倒みてくれるというのはありがたい。
彼らにすれば年寄りに頼られて、少々煩いだろうが、こちらとすれば20歳下の友人というのは頼もしい。

久々の午前様の酔狂に家人は「疲れるでしょう」と心配するが、気分は上々であった。

取材する立場と取材される立場に立つが、取材されて気持ちのいいときと、不満、苛々がするのも少なくない。
週刊誌は、実態はともかく「売らんかな」でいき、そういう意味では誤ったメッセージを垂れ流している。
そもそも偏見のあるアプローチをする人もいる。そうした場合、
「全部話すからきちんと聞け」と向こうが帰りたいのを無視して喋る場合もある。
呆れたのはコメントの答えを作っておいてテレビで言うことを求めてくるケース。電話で「それは違う」と丁寧に説明したら、逃げて行った。

雲の写真を撮った(携帯で)
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これは夕方近い、ドンヨリ雲、何故かこういうのが好きだ。
これは晴れて月が見える。
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これは爽やかな秋空
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空の表情は自分の気持ちを映しだす感じがする。

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投稿者: Hajime Himonya

碑文谷 創(ひもんや・はじめ)/ 葬送ジャーナリスト、評論(死、葬送)、 元雑誌『SOGI』編集長(1990~2016)/ 【連絡先】hajimeh46@nifty.com/ 著書 『葬儀概論(四訂)』(葬祭ディレクター技能審査協会) 『死に方を忘れた日本人』(大東出版社) 『「お葬式」はなぜするの?』(講談社+α文庫) 『Q&Aでわかる 葬儀・お墓で困らない本』(大法輪閣)  『新・お葬式の作法』(平凡社新書) ほか/

「雲と酒と」への3件のフィードバック

  1. 先日は大変お世話になりました[E:sun]
    久しぶりに先生の講義とアフターアワーを
    過ごせたこと、とっても嬉しかったです。
    私も空を見上げることが多いです。
    慌しい毎日の中で、ふと立ち止まり
    自分の心の中を空っぽにします。
    昨夜から満月直前の不安定なカタチの月に
    惹かれています。

  2. こんばんわ!
    記事を読ませていただいて・・・本当にうらやましくおもえました。講義が聴けて・・あとで一杯。おいしいおさけだったんでしょうね。久方ぶりにほのぼのとした気持ちでよめました。大竹さんは・・すごいなあ・・・っておもいます。Sogiの記事で・・『死に対峙した時、その喪失感は、恋人を失ったときのそれに似ている』・・・とか・・なにか  誌面でおっしゃっておられたような・・・。その次に拝見したのは・・100号記念の記事。とっても満ち足りた気持ちになれます。
    これからもどんどん発信していただきたいと思います。いいですね。編集長!さきを託せるお仲間がいらっしゃって・・・。すっかり涼しく(寒く・・・)なりました。ご自愛くださいませ。・・・・かしこ。

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