平均余命

日本海側、北海道は雪が半端じゃないみたいですね。
都心部は晴が多く、空気が乾燥して、火事を出しやすい。
放火にあったらどうしようもない。
私のように薬で寝ている場合には、夜中に火をかけられたときには、意識を取り戻さず、眠っている間に死へ移行していること、間違いがない。

この間、友人K君から電話
同級生のM君が1月1日にガンで死亡したとのこと。
10月の同級会にはM君は顔を見せ、千葉のガンセンターに月に一度通っていることを淡々と話していた。
目が温かく、周囲のものを眼窩に焼き付けておくかのような佇まいであった。
家族に見守られ、最期は地元の病院で息を引き取ったという。

話の流れでK君はM君が死亡した病院にやはり同級生のKO君が入院していることを知らせてくれた。肝臓がんということであるが、他にも転移しているとのこと。「なぜ自分たちだけが…」と恨み言を言っていたという。
彼は中学は別であったが、練習試合やら大会でよく会い、知っていた。同じ高校に入って1年間、私が転校するまで一緒だった。昔は別な町名であったが、こんどの大型合併で同じ市内になった。
酒屋の息子で、大学は東京だったが家の跡取りとして地元に戻り、家業を継いでいた。

同級生が死に向かい、死亡したという話は、普通の死とは違った感覚のものがある。自分に引き寄せて見るのだ。

よく平均寿命が言われる。
平成19年の「簡易生命表」では
0歳児男子の平均余命は79.19年
0歳児女子の平均余命は85.99年
これが「平均寿命」と言われるものである。
平均余命だから、あたりまえのことだが、皆がその歳まで生きるという話ではなく、それより早く死ぬ人もいればそれより長生きする人もいるということだ。

ちなみに63歳男子の平均余命は20.12年
63歳女子の平均余命は25.37年

私も平均余命どおりであれば83歳まで生きることになるが、その前に死ぬ可能性もそれより長く生きる可能性もある。
平均余命まで生きるということは同級生がすでに半分死んでいるということにほかならない。

友人に「何歳まで生きたい?」
と訊くと 「せいぜい80歳、70代で」という回答が多い。
いい格好しいだ。
「ぽっくり信仰」は昔から今に至るまで人気がある。

事実80歳を超えると、3タイプに分かれるように思う。
①元気な人、まだ現役で働いている人もいる。
②身体が不自由で頭がしっかりしている人。
③身体はまあまあ元気だが、認知症に罹っている人。
組み合わせだから「身体も頭も不自由な人」もいる。
両親は、父が②のタイプで母が③のタイプ、義母は②のタイプであった。
周りがこうだから、もし自分がその年まで生き延びたなら②か③だろう。①はあまり期待できない。

全員が①であれば問題ないが、そうはいかない。
まあ②と③を逃れる道は、これとて確実ではないが、70~80歳で死亡することである。
悼んでくれる友人・知人も葬儀には駆けつけてくれて、もしかしたら
「惜しい、早すぎる」
と泣いてくれるかもしれないではないか。

厚生労働省が「75歳」以上を「後期高齢者」と呼び、75歳過ぎの高齢者から反発を買ったというのは記憶に新しい。
年齢で分ける必要はない。「要支援」、「要介護」の認定だけでいい。高齢者にかかわらずケアを要する人はいる。

ケアされるほうも「迷惑をかける」と身を小さくするのではなく、開きなおればいい。どっちみち、いま「迷惑をかけられている」と感じる側もいずれその多くは(一部の例外を除いて)「迷惑をかける」側に回るのだ。

若いうちは気がつかなかったが、さすが60の坂を越えると、身体も頭も衰えを実感する。70の人からは「10年早い」、80の人からは「20年早い」と言われそうだが。

最近「著作権」に関係した話が私の周囲では多い。モノカキには著作権というのは生き死にの話で、これが侵害されると怒りまくる。

昨夜、ある言葉を検索していたら、用語の説明が私の書いたものから無断盗用されているサイトにぶつかった。
私の自分の書いたものは半分は公共財であると思っており、これで商売しようとは考えていないが、使用するならば事前に断りを入れて了承を受け、ちゃんとどこから取ったか書いておくべきだろう。
このサイトは「消費者の味方」とアピールし、「個人情報を守る」と言いながら、解説は他人のものの剽窃であるなら、企業姿勢が問われるだろう。

私が相当怒ったから、電話を受けたほうも戸惑っただろう。責任者のようであったが、私の名前も書いた本についても知らなかった。「いろいろな本から取った」というが、それ自身がおかしいし、調べたところ私の書いたものからがほとんどであった。
「盗用にいたった事実経過」を文書で提出するよう要求して電話を切った。

私の書いた内容を評価していただくのはうれしいが、黙っての盗用だけは勘弁いただきたい。事前にまず相談をしてほしい。

東京の昼間は陽があたっていると暖かい。
風邪をひいている方も少なくない。
このところ「マスクマン」を多く目にする。
厚生労働省の「咳エチケット」の推奨と無縁ではないだろう。

「咳エチケット」

これからは咳、くしゃみの出る人はマスク着用しないで人前に出ると顰蹙を買いかねない世の中になるのであろうか。
マスクの改善も進み、メガネが曇らないのもあるとか。不景気が多い中、マスク生産は特需景気に湧いているという。

広告

投稿者: Hajime Himonya

碑文谷 創(ひもんや・はじめ)/ 葬送ジャーナリスト、評論(死、葬送)、 元雑誌『SOGI』編集長(1990~2016)/ 【連絡先】hajimeh46@nifty.com/ 著書 『葬儀概論(四訂)』(葬祭ディレクター技能審査協会) 『死に方を忘れた日本人』(大東出版社) 『「お葬式」はなぜするの?』(講談社+α文庫) 『Q&Aでわかる 葬儀・お墓で困らない本』(大法輪閣)  『新・お葬式の作法』(平凡社新書) ほか/