弔ふ建築―終の空間としての火葬場

勝間和代VS香山リカのアエラでの対談(対決?)もおもしろかったが、アエラの今号の清野由美が書いた「現代の肖像 香山リカ」もおもしろかった。
読んで私は「香山リカ」派であることを再確認。

「がんばらない」「がんばれない」生き方を許容するというか、そもそもガンバリズムとはおよそ違うのが私の生き方。
あるときには「がんばっていけない」ということも言わなければならないと思っている。
以前も書いたと思うが、「ポジティブシンキング」というのが大嫌いである。

これは「死」をテーマとしていることと関係しているかもしれない。
「悲しむ」ことを認め、これをマイナスとは考えない、転じてプラスにしなければならない、という発想を放棄しなければならない、と思うからだ。

「悲しみにある人を癒してあげる、和らげる」などというのは「思い上がり」以外の何ものでもない、と私は思うのだ。

無力感とダラダラ人生が私の生き方だが、ブログ更新を怠ったのはそのためだけではない。
年寄りのくせにハードな生活を送っていたため。
といってもその状態が過ぎ去ったわけではない。

私としては不本意な生活だが、2日、3日事務所を留守にするということは、その前に仕事の区切りをつけないといけない、ということで、また出かける準備もある。
仕事のペースが目に見えて衰えてきているので、遅く、それで追いまくられるということで、この間、徹夜に近いことも何回かするありさまである。
好きでしているわけではなく、正直疲れている。

歳をとってみると、いわゆる「寝貯め」ができなくなる。
8時半まで寝ていよう、と思っても7時には起きてしまう。

仕事に集中できる時間も短く、すぐ腰を伸ばすために立って歩いたり、自分の脳内の空気を入れ替えるために、今や非難を受ける身のタバコを吸うためにベランダに出たり、結構落ち着かない。

タバコを吸う身は小さくしていないといけないと自覚しているので、相手がタバコを吸うというだけで「仲間」に思え、同席して「タバコを吸ってもいいですよ」と言われると「天使」にも思える。
ま、情けないタバコ中毒者なのです。

少し紹介が遅れたが
日本建築学会編『弔ふ建築―終の空間としての火葬場―』
本体3400円、鹿島出版会刊
は必読書。

八木澤先生と浅香先生の『火葬場』(大明堂)が刊行されたのが1983年。
今回の企画にも両先生が係っておられるが、最終的にまとめられた中心が武田至さん。
とてもいい仕事をされたと思います。
火葬場を多面的に描いていて、火葬について論じるには必読書となるでしょう。
こういうバランスの取れた本を読ませていただいた幸せを感じている、と表現してもけっして大げさではありません。

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投稿者: Hajime Himonya

碑文谷 創(ひもんや・はじめ)/ 葬送ジャーナリスト、評論(死、葬送)、 元雑誌『SOGI』編集長(1990~2016)/ 【連絡先】hajimeh46@nifty.com/ 著書 『葬儀概論(四訂)』(葬祭ディレクター技能審査協会) 『死に方を忘れた日本人』(大東出版社) 『「お葬式」はなぜするの?』(講談社+α文庫) 『Q&Aでわかる 葬儀・お墓で困らない本』(大法輪閣)  『新・お葬式の作法』(平凡社新書) ほか/