暖かくなって困ること 東日本大震災

今年はもう春だというのに寒い日が続いた。
サクラが東京では開花したというニュースもずいぶん前に聞いた気がする。
でもそんなことどうでもよい気がする。
例年は「うれしい」ニュースだったが。

海からの遺体捜索でかなりの遺体が見つかったという。
沿岸部集中捜索の初日の結果約30体。
でもまだ瓦礫の下にたくさんの遺体がある。

寒かったから、このところ発見された遺体には結構きれいな状態のがあったという。
もちろん腐敗が激しい遺体もある。
被災地の気候も少しずつだが暖かくなってきている。
被災地の生活にとっては朗報だが、遺体にはマイナス条件である。
震災孤児は60名以上。

マグニチュード9.0、震源域が約400kmに及び、海底が5メートルも隆起し、大津波が太平洋沿岸部が襲った。
福島の原子力発電所も地震と津波のダブルショックに対応できなく、見通しが立たない。
現場では乏しい食料で必死に働きずくめの人たちがいる。

乳児用の水、ということで全国の親戚たちが水を求め、九州、関西でも水は売り切れ状態とか。
私の姉も九州にいながら甥である私の息子の娘(つまりは私の孫ですが、写真を携帯の待受けにして孫であることを確認する日々)のために水を買い、送った一人。

家族とか親戚とか、このところとても意識させられる日々が続いています。
映画『おくりびと』がヒットしたのも、家族等の死を思い起こす人が多かったから、というのもあるようです。

今回の震災には当分終わりがありません。
瓦礫等の下にある遺体の数がいかほどのものか。

阪神・淡路大震災では多くの人が家族の一員を喪ったことと同時に暮らしが崩壊したことを「喪失」と言っていたことを思い起こします。

家族もろとも亡くなったり、行方不明の方
家族の遺体を待つ人
家族の遺体が発見されただけでも幸せと言う人
地域の人の避難を呼びかけ促し、自分が後に残り亡くなった人
その遺体を捜す人
その遺体の泥を洗う人
その遺体を運ぶ人
その遺体を見守る人
放射能汚染地域に取り残された遺体

4月2日10時現在、警察庁調査
死亡11,800人、行方不明15,540人、計27,340人

避難所に留まる人16万6千人、建物被害は約20万戸

そういえば、今回の震災の名前が決まった。
東日本大震災
東北地方太平洋沖地震
東北・関東大震災
と3通りが残ったが、最終的には次の言葉で統一となった。

「東日本大震災」

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投稿者: Hajime Himonya

碑文谷 創(ひもんや・はじめ)/ 葬送ジャーナリスト、評論(死、葬送)、 元雑誌『SOGI』編集長(1990~2016)/ 【連絡先】hajimeh46@nifty.com/ 著書 『葬儀概論(四訂)』(葬祭ディレクター技能審査協会) 『死に方を忘れた日本人』(大東出版社) 『「お葬式」はなぜするの?』(講談社+α文庫) 『Q&Aでわかる 葬儀・お墓で困らない本』(大法輪閣)  『新・お葬式の作法』(平凡社新書) ほか/