3.12を忘れるな

3.12、つまり3.11の巨大地震と大津波で東北地方を中心とした太平洋岸の町、村、集落の平地部分が根こそぎさらった大惨事の日の翌日のことである。

この日何が起きたのか?
東電福島第一原発が水素爆発を起こした日である。

3月11日、既に全電源の喪失、炉心融解(メルトダウン)が発生、翌312日水素爆発が起こり、福島と言わず、東北、関東地方に放射能をばら撒いた。地元では15日に降った雨のことを言う人がいた。15日に降った雨が各地を汚染した。

前回も書いたが肉牛の汚染問題、さらに拡がっている。

朝日新聞社の22日現在のまとめでは、汚染わらを牛に与えていた畜産農家はこの日、北海道と秋田、三重、島根の3県でも新たに確認され、計14道県から出荷された牛の数は1600頭を超えた。これらの肉の流通はこの日、新たに鳥取県でも確認され、沖縄県を除く46都道府県に広がっている。

 北海道は、浜中町農協の肉牛牧場の宮城県産わらから、国の基準(1キロあたり300ベクレル)の約6倍のセシウムを検出したと発表した。このわらを食べた牛15頭を東京都や青森県などに出荷していたという。

これは東電による犯罪である。
今は主として肉牛のことが語られているが、これからさまざまなことが出るだろう。
意図がなかっただけでオウムによる無差別テロと結果は同じである。オウムは死に直結し、長野、首都圏、に地域的に限定されたが、今回のようなものは全国どこに影響が飛来するかわからない。現に汚染した肉牛は解体され、沖縄を除く全国に流通している。

酪農家、行政の責任が言われるが12日の段階で、こうした問題の広がりを伝えたマスコミその他がいたか。自分たちが予測しえなかったことを馬鹿の一つ覚えで「政府が悪い」という。
その暇があったら東電という加害者がはっきりしている今回の問題、加害者の問題を徹底的に洗え。

東電は今回の問題を明確に謝り、被害者対策をすぐにでも行うべきだろう。警察が取り締ってもいい事項だ。

これだけではなく、家族を離散させ、ムラを壊し、人々の暮らしを滅茶苦茶にした罪は大きい。

今回の事故について自民から反省の言葉がきかれないのはおかしい。こうした「安全神話」づくりで「安全」対策を行わなかった問題について深刻な反省がないのはどういうことだ。
「政治評論家」やマスコミも同罪である。
自分たちの不明を詫びることもせず「原発」を守ろうという言辞だけが聞こえてくる。

菅政権は政治基盤が弱いので、そろそろ終わりだろう。代わりは誰なのか?どうしようとするのか?
民主党政権になってよかったのは、さまざまな問題、矛盾がはっきり出てきたことだ。
自民党政権だったら対応がもっと酷かっただろう。
ボロ隠しができなかっただけでも大きな進歩だ。
ついでに「松阪牛」が各地で育てられている、ということもわかったのだが。

その松阪牛に惹かれて、ではないのだが伊勢路へ。
伊勢神宮は2度目、カップルや小さな子を連れた家族連れが多い。
平均年齢が低く、雰囲気は優しく、温かであった。

朝は90分2コマ「道場」で。
タイトルは「揺れ動く日本人の死生観」
名簿を見ると被災地の石巻、塩釜の宮司さんもおられた。

「神葬祭」(神道による葬式)に関心が高く、ケガレ、祓いをどう考えたらいいか、悩んでいる。
「神社」の発生は早いが、神道を自ら認識したのは中世以降、特に近世に入り18世紀以降のことであるから意外と新しい。
神社を中心とした日本人の民俗宗教を組織化したもので、体系的な教理があるわけではない。
日本人が自然の中で生きていくことを考えたもの。

自然は恵みだけではなく、人間に時折り災害や感染症の脅威も課す。それをリアルに表現したのが「ケガレ」意識だ、と考えれば、それを祓い、清めるというのは、従来の「遠ざかる」「避ける」「見ないようにする」というのではなく、そうした現実を引き受ける、と考えることもできるのではないか。
神道信仰というのは日本人が生きてきた民俗信仰であり、それが深く、広く理解されたのには、それなりの理由がある、ということを話してきた。

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投稿者: Hajime Himonya

碑文谷 創(ひもんや・はじめ)/ 葬送ジャーナリスト、評論(死、葬送)、 元雑誌『SOGI』編集長(1990~2016)/ 【連絡先】hajimeh46@nifty.com/ 著書 『葬儀概論(四訂)』(葬祭ディレクター技能審査協会) 『死に方を忘れた日本人』(大東出版社) 『「お葬式」はなぜするの?』(講談社+α文庫) 『Q&Aでわかる 葬儀・お墓で困らない本』(大法輪閣)  『新・お葬式の作法』(平凡社新書) ほか/