五山送り火問題 修正 8月14日

「京都の市民はほんとうに恥ずかしいなあ」
で始まる岩手県陸前高田の松原が大津波で1本のぞいて壊滅的被害。
その松をたきぎにして京都五山の送り火で燃やしてもらおうと思ったら、放射能汚染を心配する京都市民の声に押されて主催団体は拒否。
何とも京都市民の閉鎖性、排他意識が丸出しですな。

で始まる記事
展開があり、いったんは燃やすことに合意、その後薪を検査したら放射性セシウムを検出、改めて保存会は使用しないことになった。

ここで書いた記事が大きな反響を呼び、普段の読者の方々とは異なる方々がお読みいただいてアクセスが大幅増加。
そこでこの問題だけ、3日に書いた記事も含め、まとめることにした。
新聞の引用も多かったので、全体をスリム化した。だが、この後の展開も含めて、その時々に感じた私の感じは残した。

第1段階

毎日新聞から以下引用(毎日新聞8月9日)。
http://mainichi.jp/photo/news/20110808k0000e040058000c.html

五山送り火:被災地の松「まき」計画中止…放射能を懸念 

東日本大震災の津波で流失した岩手県陸前高田市の高田松原の松に震災遺族らのメッセージを記して京都の「五山送り火」(16日)のまきにする計画が、放射能汚染を懸念する声を受けて中止されることになった。メッセージが書かれたまき約350本は陸前高田市内で保管されており、現地入りしている「大文字保存会」(京都市)の松原公太郎理事長らが8日夜、精霊の「迎え火」として燃やす。しかし、京都市には市民から中止を批判する声も多数寄せられている。【成田有佳、古屋敷尚子、入江直樹】

 保存会は遺族らのメッセージを写真に撮り、後日、別の護摩木に書き写して「送り火」で使用するという。

 計画は大分市の美術家、藤原了児さん(61)が発案し、松原理事長に相談したのがきっかけ。藤原さんが震災後に知り合った陸前高田市の旅館経営、鈴木繁治さん(66)がまき集めやメッセージの呼びかけを担った。

 計画が報道された6月末以降、京都市や関係者の自宅に「放射能汚染された灰が飛ぶ」などと抗議の電話やメールが寄せられるようになった。

 保存会はまきのかけらを取り寄せ、民間会社に依頼してセシウムとヨウ素の検査をしたが何も検出されなかった。まきの使用を巡って理事会で意見が割れたが「不安は完全にぬぐえない」と中止を決断したという。

 山本正・副理事長は「陸前高田の方々には申し訳ない。迎え火で燃やすことで気持ちに応えたい」と苦渋の表情を浮かべる。鈴木さんは「時節柄、仕方のないことだと思う」と言葉少なだった。

 藤原さんは「不安に思う人がいるのなら押し通すことはない。保存会が現地で(当初の計画から)形を変えて亡くなった人や遺族らの思いに応えているのは、誠意の表れで感謝している」と話す。

 京都市には8日朝から中止に反対する意見が電話で多数寄せられた。市によると「送り火は死者を鎮魂する場で被災者の思いに応えられる場。『いちげんさんお断り』のようで、京都市民として恥ずかしい」「陸前高田市は原発から離れているのに、被災地の思いを届けようとする真摯(しんし)な取り組みをなぜ中止するのか」などの意見があったという。

第2段階

http://www.asahi.com/national/update/0810/OSK201108090263.html


第3段階

8月13日 この話は続きがあった。

毎日新聞によれば「東日本大震災の津波で倒れた岩手県陸前高田市の景勝地「高田松原」の松から作ったまきを京都市の「五山送り火」(16日)で燃やす計画で、京都市は12日、まきの表皮から放射性セシウムが検出されたため計画を中止すると発表した。送り火の実施主体の五つの保存会は同日、市の決定に従うことを決めた。【古屋敷尚子、田辺佑介】」とある。

これについては私の本能は「ばかな」と怒るが、いかんせんこれに対抗できる知識がない。セシウムの検出がどれくらいだったら安全でどのくらいだったら危険で、燃やすことでどのくらいの問題があるのか、ないのか。専門家の発言を信じるべきかどうかわからないのだ。
最初に怒ったとき、親しい人が東京の木材も危ないらしいですよ、と心配して言ってくれていた。

でも今回の中止問題には、特に中世の京を中心とした文化でケガレということが真剣に恐怖の対象になっていた、という文化的背景が背景にあったことだろう。
この厄介な問題は福島から岩手だけではなく、確実に首都圏まで及んでいる。

こうした問題を発生させ続けている原因は東電にある。
そして東電ほかに安易な安全装置しか備えなかった「原発行政」とそれを支えたマスコミがあった、ということだ。

陸前高田をはじめとする陸奥(みちのく)は、これから何回陵辱されたらいいというのか。フツフツと怒る。

NHKその後
全仏のシンポジウムを紹介したニュースで事実と異なる報道がされたので、私がNHKに文句をつけた件、事実調査もされている様子もない。ニュースの事実を問題にしているのに、「総合的に」とか考えることはないだろう。こんな常套句で事実調査をしない、というのであれば報道としては失格だろう。
「小さな記事に文句をつけられても困る。記者は一人しか行っていないので調べようがありません」
と正直に答えるならまだしも、門前払いとはどうですかね、NHKさん?

本日は、長崎原爆の日

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投稿者: Hajime Himonya

碑文谷 創(ひもんや・はじめ)/ 葬送ジャーナリスト、評論(死、葬送)、 元雑誌『SOGI』編集長(1990~2016)/ 【連絡先】hajimeh46@nifty.com/ 著書 『葬儀概論(四訂)』(葬祭ディレクター技能審査協会) 『死に方を忘れた日本人』(大東出版社) 『「お葬式」はなぜするの?』(講談社+α文庫) 『Q&Aでわかる 葬儀・お墓で困らない本』(大法輪閣)  『新・お葬式の作法』(平凡社新書) ほか/

「五山送り火問題 修正 8月14日」への2件のフィードバック

  1. 恥ずかしいのは大分の藤原了児だろ
    京都では昔から送り火のために大文字山の松を使うって乾燥させる期間まで考えて決められてたのに
    藤原が陸前高田の被災者を巻き込んで強引に割り込んできたのが事の発端
    つまりこれは被災者を利用した利権ビジネスだよ
    京都の人たちには是非こんな胡散臭い主張は突っぱねてほしい
    《8言い訳または追記》
    上記の過程を整理したので本文参照ください。利権ビジネスかどうかについては不明と言うしかない。

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