大震災で問題だった一つに火葬場がある

きょうは4月6日、長々とお休みいただきました。

平常の仕事が遅れて、玉突き状態になり収拾不可能になったものですから、休みをいただきひたすら執筆、編集に専念していました。66歳になり、今年4~5回目の徹夜をするなど、非人間的生活を自らに強いざるをえませんでした。
原因ははっきりしています。歳を重ねて仕事のペースがグンと落ちているにもかかわらず、かつてのいい状態の時のペースでスケジュールを組んでいて、結果的に破綻を繰り返さざるを得ないのです。
おもしろいことに、ブログを休んでいる期間は他の方々のブログもあまり見ないのです。

4月に入り、2日に入稿したものがあって、多少は余裕がでました。ほんの多少なのですが、そこで、さまざまな溜まっている案件を処理すると、また4月のスケジュールがあやしくなってきています。
4月2日までは薬中状態でした。無理やり働かない脳を活性化し、仕事をするのですから、結構危ないです。

3月11日は2011年の同日から1年でした。
新聞等では「復興が進んでいない」ことばかり言われていますが、早く進むことは重要ですが、「復興」を必要以上に煽る必要はありません。
「復興バブル」といっても、それは仙台の飲み屋街国分町だけの話。

多くの瓦礫が更地にされた平原に大きな塊となって鎮座しています。
ものではないものがものとされている現実。
瓦礫といってもそれは暮らしのあったことの証明。見ているとやるせない気持ちになります。

そして戻らないもの、喪われた人のことについて、それぞれの方がゆっくり付き合う権利、自由を許容する社会でありたい、と思うのです。
「済んだことは仕方がない」ではないのです。無理に「前向き」である必要はないのです。
「1年が過ぎたのだから」と無理やり被災者に前向きを促すことはないのです。

今回の震災で問題として残されたことの一つに、「火葬」の問題がありました。

広域火葬協力が機能した地域とそうでない地域がありました。
また、全国から火葬炉職員がもっと来て協力してくれていたら、もっとたくさんの火葬が可能だった火葬場がたくさんあったことです。
また、火葬炉メーカーも非常時にはどこまで可能か、ということについて、責任追及を避けるために安全すぎる限度を示していたことが障害になりました。
火葬炉メーカーの安全限度を根拠に回転数を拒んだ火葬場が少なくありませんでした。

火葬についての協会は、私が知る限り2団体あります。
よかったところは褒められるのですが、できなかった点についてしっかり協議してほしいものです。
その2つの協会が現地に火葬職員をもっと多く派遣したり、現場ごとにここまでは可能という現実的判断を示してくれたら、事態はもっと大きく改善されたのです。

今回のフクシマ問題では各大学が分担を決め、除染に協力しています。おそらくもっと多くの大学で協力できる点があるでしょう。

震災犠牲者の遺体の火葬について、火葬の専門家団体が支援することはたくさんありました。それが少なかったために仮埋葬そして掘り返しの再納棺、火葬。
掘り返し作業がどれほど大変だったか。その大変さは理解されていません。
遺体安置があれだけ続いたこと、それを担った葬祭業者はえらかったと思いますが、彼らにそこまでさせないで済んだ部分が確実にあったのです。

☆この仮埋葬、改葬(再掘しての納棺、、火葬)の実態は清月記(宮城県仙台市)『清月記活動の記録』に詳細に記述されている。今回において遺体収容・納棺・安置・火葬、または安置後に仮埋葬・改葬、がどう行われたかを知る必須の資料である。

今後の防災計画には、こうした専門家の協力体制を予め組み入れておく必要があります。

今回、2つの団体には支援協力依頼がなかったのかもしれません。でもあえて行ってくれていたら、と思います。
よかった点を2つあげれば、
名取では火葬場が壊れ、宮本工業所さんが市の強い要請を受けて、緊急の火葬炉再開体制をとったことが高く評価されています。
広域協力ということでは山形県の各地の火葬場が受け入れ、しかも温かく迎え入れてくれたことが言われています。

気持ち的に追い込まれると、ろくなことはありません。私は極めて狭量な人間であることを改めて自覚させられました。けっして寛容とは言えない。そんなケチな人間だということです。そのため、ご迷惑をおかけした方々にはお詫びするしかありません。

次回予告(いつかは未定) 尊厳死法案について書きます。本来はこちらを再開第1回のテーマに考えていたのですが。

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投稿者: Hajime Himonya

碑文谷 創(ひもんや・はじめ)/ 葬送ジャーナリスト、評論(死、葬送)、 元雑誌『SOGI』編集長(1990~2016)/ 【連絡先】hajimeh46@nifty.com/ 著書 『葬儀概論(四訂)』(葬祭ディレクター技能審査協会) 『死に方を忘れた日本人』(大東出版社) 『「お葬式」はなぜするの?』(講談社+α文庫) 『Q&Aでわかる 葬儀・お墓で困らない本』(大法輪閣)  『新・お葬式の作法』(平凡社新書) ほか/

「大震災で問題だった一つに火葬場がある」への2件のフィードバック

  1. お疲れさまです。あまりご無理なさいませんよう、どうぞご自愛なさってください。遠くから祈っております。

  2. 碑文谷先生、お世話様です。
    編集に多大なるご協力を頂いたばかりか
    ブログで記録誌を紹介頂き有難うござい
    ます。
    「碑文谷先生のブログで見た」とい
    う方より記録誌を希望されるお申し
    出を何件も頂きました。さすがですね。
    今後、万が一碑文谷先生にお手数をおか
    けしてしまうような事がございましたら、
    直接私の連絡先をお伝え頂いて結構でご
    ざいます。
    まだ残数がございますので、葬祭業
    関係の方よりお申し出があった場合
    は随時発送しております。
    今後ともよろしくお願い致します。

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