民衆にとっての「墓」の変遷

■まず、告知

 226日(火)19時~20時半
日比谷カレッジで講演する。(東京・日比谷公園にある日比谷図書文化館)
タイトルは「民衆にとっての『墓』の変遷―葬送の原点を探る」
https://www.library.chiyoda.tokyo.jp/information/20190226-post_121/

  90分で日本の「墓」について古代から現代までを喋るという無謀な試みである。
解釈が難しいところもあるのでツッコミどころ満載であろう。

 だが、これからの問題を整理するうえで、墓を歴史的に振り返っておくことも大切ではないか、という問題意識からきている。

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 PowerPointで今のところ33枚。
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枚を3分弱で進めなければならない。
ロートルにとってはスピード、体力も心配である。

 

 12月以来、講演では疲労度が高くなっている。
また、情報処理能力にも自分では気がつかない衰えがあるだろう。

 

■墓についての用語の混乱

 先日(27日)、フジテレビのノンストップに出演した。
告知をしなかったのは直前まで担当者とのやり取りが決着しないため、出るか出ないか未定だったことによる。

 打ち合わせしていて話が合わなかった点は、おそらく多くの人が誤解しがちな点なのであろう。

①「墳墓」と「墓地」

「墓」と言うが、それが「墳墓」を意味するのか「墓地」を意味するのか、はたまた混同しているのか。

 墓地埋葬法2条には
4 この法律で「墳墓」とは、死体を埋葬し、又は焼骨を埋蔵する施設をいう。

 5 この法律で「墓地」とは、墳墓を設けるために、墓地として都道府県知事(市又は特別区にあつては、市長又は区長。以下同じ。)の許可を受けた区域をいう。

 6 この法律で「納骨堂」とは、他人の委託をうけて焼骨を収蔵するために、納骨堂として都道府県知事の許可を受けた施設をいう。

「共同墓」「合同墓」は、しばしば「永代供養墓」「合葬墓」と同じことを意味して用いられる。
だが「共同墓」と「共同墓地」は全く異なる概念である。
これがわかっていないと話が混乱する。

②法律的に定義されていない用語

上記の「墳墓」「墓地」「納骨堂」は墓地埋葬法の最初に定義されているが、「共同墓」「合同墓」「合祀墓」「永代供養墓」「合葬墓」は定義されていないので、かなり解釈の幅がある用語である。
また個々を見ると、「墳墓」とされているものばかりではなく「納骨堂」に分類されているものもある。

 昔「合祀墓」と言われたものには、その合祀されている塔に遺骨が合わせて納められているものもあれば、名前は刻まれているが遺骨は納められていないものもある。
戦死者、戦争被害者の合祀塔、合祀墓にはその2種類がある。
だから墓地埋葬法上の「墳墓」とすべきか墓地埋葬法に該当しない「供養塔」とすべきか、個々によって異なる。

 江戸時代の墓に複数の者の名が刻まれた墓があるが、複数の遺骨が埋蔵されたものもあるし、埋蔵されているのは1名でその他は供養のために刻印されたものもある。

③「永代供養」と「永代供養墓」

おそらく江戸期から寺墓地に入った人に跡継ぎがいないなどで寺に「永代供養」を申込む例はあったものと思われるが、これと「永代供養墓」は同じではない。
「永代供養」は墓の永続性を保証するものではなく、寺に位牌を納め、死者の霊を永代に供養する、毎日寺側で諸霊の供養を行うことを意味し、墓自体は跡継ぎがいなくなれば改葬されることもある。

「永代供養墓」とは、1980年代の半ばから誕生した比較的新しい墓の概念。
跡継ぎの有無に関係なく、寺または墓地が続く限り墓を管理し、供養するもの。
但し、遺骨は個区画で最初は納め、13回忌や33回忌をもって合葬区画に合葬するタイプと最初から合葬区画に合葬するタイプとがあり、同じ永代供養墓でも最初個別区画に納めるか、最初から合葬するか選択できるものがある。

④「永代供養墓」と「合葬墓」

  80年代に「霊園ブーム」が大都市周辺で発生した際に、霊園の一部が強気になって「子のいない人」「未婚・離婚の女性」等、跡継ぎのいない人に墓を売らないということがあり、墓システムの硬直化が指摘された。
そこで出てきたのが「誰もが差別されずに弔われる権利がある」という理念で登場したのが「永代供養墓」であった。

 東京・巣鴨の「もやいの碑」は寺院経営とはいえ宗旨を問わない民間霊園にあって、しかも市民同士が共に守っていくという理念であったので「合葬墓」と称した。

 

 永代供養墓がテレビ、新聞、雑誌で人気となると、公営墓地もその需要に応えるべく乗り出す。
但し公営墓地は永続的に管理できても、寺のように「供養」を墓地が主体になっては行えないので、「合葬式墓地」「合葬墓」と称すようになった。
公営墓地の合葬墓にも最初の一定期間は遺骨を個区画に納め、その後に合葬するタイプと最初から合葬するタイプとがある。

 公営墓地の合葬墓の使用料は330万円程度であるが、35万円程度は最初から合葬するタイプが多い。
他方、寺や民間霊園の永代供養墓、合葬墓でも35万円程度のものは最初から合葬タイプのものである。

 

 寺の永代供養墓の使用料が50100万円程度のものには2つあり、単に高いところと、将来的維持のための基金を見込んでいるところとがある。

 大阪や東京で内容的には永代供養墓と等しい大規模納骨堂が今大々的に売り出しているが、将来的な維持経費を基金化しているのかどうかが問われる。

 「安い」「高い」というのは5万円が安くて90万円が高い、とは単純にはけっして言えない。
遺骨処分を考えているならば金額が安いのがいいだろうが、将来的に託すのであるならば安いことだけではなく信頼をコストとして考えるべきだろう。

 テレビでの問題は「公営墓地の合葬墓は安くて安心で人気になっている」という基調で番組を作成しようとする担当者と選択には幅があり、寺の永代供養墓にもいいところはあるよ、と考える私との間で台本作成は最後までゴタゴタした。
せっかく取材協力してくださった功徳院の松島龍戒住職にはご迷惑をおかけした。
公営の合葬墓主体に進めたい番組側の意向でカットになった。
私にとっては残念だった。

 番組作成者は概念を決めつけがちだが、現実は違うことを知っている者としてそうは言えない、という不毛なやり取りが繰り返された。

最後は相互に妥協して20分の生番組が流された。

 テレビも週刊誌のコメントも揉めて疲れるのが毎回のパターン。
取材にはオープンでいたいが、疲れて後味が悪いのも事実だ。

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投稿者: Hajime Himonya

碑文谷 創(ひもんや・はじめ)/ 葬送ジャーナリスト、評論(死、葬送)、 元雑誌『SOGI』編集長(1990~2016)/ 【連絡先】hajimeh46@nifty.com/ 著書 『葬儀概論(四訂)』(葬祭ディレクター技能審査協会) 『死に方を忘れた日本人』(大東出版社) 『「お葬式」はなぜするの?』(講談社+α文庫) 『Q&Aでわかる 葬儀・お墓で困らない本』(大法輪閣)  『新・お葬式の作法』(平凡社新書) ほか/

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