なぜ「葬儀」を基本から語るか?

葬研
https://souken.info/

というサイトで「碑文谷創の葬送基礎講座」
というコーナーを書かせていただいている。

その第6回
「葬儀」と「告別式」
https://souken.info/himonya6
が6月14日(金)に掲載された。

「葬研」はもともとビジネス色の強いサイトであるから、「葬送」を文化、歴史、哲学(宗教)という関心を主としてきた私の書くものがどれだけ必要とされるか、いささか疑問を抱えながら掲載を繰り返してきた。

第1回「いま、葬送が抱える課題とは?」①
週刊誌は「終活」特集満載!
https://souken.info/himonya1

第2回「いま、葬送が抱える課題とは?」②
「少子多死社会」ということ
https://souken.info/himonya2

第3回「いま、葬送が抱える課題とは?」③
格差社会の葬送
https://souken.info/himonya3

第4回
葬儀業市場の規模は?
https://souken.info/himonya4

第5回
葬儀市場は分化している
https://souken.info/himonya5

流れとしては、葬送を囲む社会環境がどうなっているかを1~3まで書き、4~5で格差社会と葬送市場の現況について書いた。

ここまで書いて、すでに年間プロットは用意しているものの、今後どう展開していくべきか、はたと悩んだ。

今の「葬儀」というのは、
ビジネスとしては新しいネット事業者、投資会社等の新規事業者の参入が激しく、まるで互助会が参入した1950年代、1960年代の時代を彷彿させるものがある。

「葬祭事業」としても、社会的には都市部は別として、地域共同体の手を離れて「商品・サービス」として提供されたのが1955(昭和30)年以降のことで、互助会(冠婚葬祭互助会)の誕生、伸長と併行した。

さらに1980(昭和55)年頃からバブル景気の1990(平成2)年頃まで祭壇文化が花開き、社会儀礼色を強めるものへと著しい変化を見せた。

バブル景気の崩壊、長期不況を背景に1995(平成7)年以降「個人化」の流れが浸透し、現況がある。
「葬儀」の実態もまた大きく変容している。

この変遷の過程でさまざまなことが変化し、混乱を積み重ねてきた。その結果、同じ用語でも意味することが違う、ということがさまざまな場面で生じている。
「葬送基礎講座」と名づけた以上、用語の整理を兼ねながら、葬儀の変遷、内容、視点について、それなりにまとめる必要を感じた。

私の今回の原稿のポイントは、

しかし、看取り、安置、通夜、葬儀、火葬、四十九日という儀礼を外面にのみに注目しては全体的に理解しているとはいえない。
葬送儀礼においては、家族・関係者の心的内部で死別した死者のために行われる祈り、供養、内面で発生するけっして一律ではないグリーフ等の心的葛藤(怒りも含めて)や個別のさまざまな心的プロセス(それが身体におよぶこともしばしばだが)が併行しある事実をないがしろにすることはできない。
むしろ死別で発生する人間の内的なものが葬送儀礼を支える核心としてある。

の箇所にある。

ビジネス的関心から読む人にとってはこの1~2回は退屈な議論かもしれない。

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投稿者: Hajime Himonya

碑文谷 創(ひもんや・はじめ)/ 葬送ジャーナリスト、評論(死、葬送)、 元雑誌『SOGI』編集長(1990~2016)/ 【連絡先】hajimeh46@nifty.com/ 著書 『葬儀概論(四訂)』(葬祭ディレクター技能審査協会) 『死に方を忘れた日本人』(大東出版社) 『「お葬式」はなぜするの?』(講談社+α文庫) 『Q&Aでわかる 葬儀・お墓で困らない本』(大法輪閣)  『新・お葬式の作法』(平凡社新書) ほか/

「なぜ「葬儀」を基本から語るか?」への1件のフィードバック

  1. 初めてのコメントでございます。月刊SOGIでは葬儀屋の心構えを忘れないようにその指針として購読させておりました。葬送の文化や習わし等の地域地方での違いにはいつも驚きを覚え、「葬儀屋とはどうあるべき」を常に考えまた「葬儀とは何か」など、自分なりに研鑽してきたつもりでございます。しかしながら、昨今の葬儀事情を見るにあたり、何か腑に落ちない事項がございます、現在齢63歳の年老いた葬儀屋は都度不快な思いをしております。業界も新旧交代し日々新しい感覚の葬儀演出や価格改定、家族葬ホールという名の葬儀屋主導の斎場の乱立など… 確かに遺族や故人には葬儀様式の自由は保証されておりますが、葬儀屋にはそんな保証も権利も無い!
    勝手にホールを建て勝手に葬儀価格をパッケージ化し葬送様式の一律化を図る。こんなやり方がどうも許せないですね。初老の葬儀屋より。

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