日本の感染レベルは歴史的、世界的にどうなっているのか?

5月21日、日本では緊急事態宣言が関西圏で解除され、残りは首都圏(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)と北海道の5都道府県となった。
といっても新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の脅威は終わりではないようだ。年内の再流行もありうるし、ワクチン、治療薬の開発にもさまざまな問題があるし、公衆衛生的対処は2022年上半期までは必要とされる状況が続きそうである。

全世界の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染者数が500万人を超えた。死亡者数総計が30万人を超えた(5月22日午前9時時点)。

この数は大きいが過去の大きな感染症と比べてどうなのかを見ておこう。
もとより過去の数字は推計である。

1.感染症の歴史での位置づけ

■ペスト(黒死病)
①165~180年 350~700万人死亡と推計(致死率25~33%)。
②541~542年 東ローマ帝国の全人口の40%が死亡と推計。
③14世紀 当時の人口の22%にあたる1億人死亡と推計。(致死率20%~60%)
④17世紀ヨーロッパ フランスでは1628~31年に100万人死亡と推計。
※日本では1899~1926年 感染者数2,905人、死亡数2,402人と推計。

■コレラ
①1817~1833年第一次世界流行 アジア~アフリカ
 ※日本には1822(文政5)年に九州~東海道で流行。
②1826~1837年第二次世界的流行 アジア、アフリカ、ヨーロッパ、南北アメリカと世界的に拡大。
③1840~1860年第三次世界的流行
 ※日本には1858(安政5)年と1862(文久2)年に九州~東海道で流行。1862年の流行では56万人死亡と推計。
④1863~1879年第四次世界的流行
 ※日本では1879(明治12)年には死亡数10万人超
⑤1881~1896年第五次世界的流行
 ※日本では1886(明治19)年には死亡数10万人超。1895(明治22)年には死亡数4万人。
⑥1899~1923年第六次世界大流行

■スペインかぜ
1918(大正7)~1920(大正9)年 米国発か?
全世界で当時の人口の約2~3割の5億人が感染し、死亡者数は約2~5千万人と推計される。
※日本では感染者数約2,380万人、死亡数388,727人と記録されているが、死亡者数を約45万人とする推計も。

2.COVID-19の感染状況

2020年5月22日9時45分現在
ジョージ・ホプキンス大学のCOVID-19についての集計によるならば

①感染者総計 5,097,944人
アメリカ合衆国 1,576,542人
ロシア      317,554人
ブラジル     310,087人

英国       252,246人
スペイン     233,037人
イタリア     228,006人
フランス     181,951人
ドイツ      179,021人
トルコ      153,548人
イラン      129,341人
インド      118,226人
ペルー      108,769人
中国        84,742人
カナダ       82,742人
サウジアラビア   65,077人

日本       16,385人

②死亡者総計 332,425人
米国      94,661人
英国             36,124人
イタリア       32,486人
フランス       28,218人
スペイン       27,940人
ブラジル       20,047人
ベルギー         9,186人
ドイツ          8,203人
イラン          7,249人
カナダ          6,267人
メキシコ         6,090人
オランダ         5,794人
中国           4,638人
トルコ          4,249人
スウェーデン     3,871人
インド            3,584人
ペルー            3,148人
ロシア            3,099人

日本                771人

(参考)米国州別死亡者数(感染者数)
ニューヨーク      28,743人(356,458人)
ニュージャージー 10,846人(151,586人)
マサチューセッツ   6,148人(90,084人)
ミシガン               5,129人(53,512人)
ペンシルベニア      4,869人(69,252人)
イリノイ               4,607人(102,688人)
コネチカット         3,583人(39,208人)
カリフォルニア        3,581人(87,940人)

3.若干の考察
①検査数が異なる
検査数は国によって異なるので、感染者数は厳密な意味では各国のおおよその傾向を示しているだけである。

②日本の感染者数実数
日本における感染者数約17,000人についても、実数が10万人以上であると推測されているが、15万人規模なのか、20万人規模なのか、あるいはそれ以上なのかは専門家にすらわかっていない。

③死亡数
死亡数についても全数が把握されているわけではない。日本においても死亡者について全数検査したわけではないので誤差はあると考えられるが感染者数よりはるかに実態を反映していると考えられるので、771人が800人になることはあっても1,000人になることはないものと思われる。

※日本で死亡数が欧米各国に比べて少ないことについては諸説ある。注目されるのは「なぜ人種で差 コロナ重症化、遺伝子解析で探る研究開始」というニュース
時事通信
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020052200489&g=soc
朝日新聞https://www.asahi.com/articles/ASN5P5KCKN5PUCFI003.html?iref=comtop_list_sci_n01

新型コロナウイルス感染症が重症化する仕組みを、患者の遺伝子解析を通じて解き明かそうというプロジェクトが始まった。人口100万人当たりの死者は米英で300~500人なのに対し、日本では約6人で大きな差がある。研究グループはこの差が生活様式や医療格差だけでは説明できないと考え、人種ごとに異なる遺伝子によって免疫応答に違いが生じているとの仮説を立て、ゲノム解析で確かめることにした。重症化因子が判明すれば、今後のワクチン開発に生かせるという。 東大や阪大、京大など7大学の研究者と研究機関などが参加。日本医療研究開発機構(AMED)から研究資金を得た。国内の約40の医療機関と連携、無症状から重症者まで、少なくとも600人の血液を調べ、9月までに報告をまとめる。慶応大の金井隆典教授が研究責任者を務める。」(朝日新聞)

④日本の感染レベル
米国各州と比較するならば、死亡者数州別20位になるアリゾナ州(死亡者数764人、感染者数15,348人)とほぼ等しいレベルだと言える。 

⑤コロナ禍
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への脅威はもとより、これに対する対処としての世界各地のみならず国内までおよぶ人間の移動・物資流通の途絶、世界各地での都市のロックダウン、日本での補償を伴わない自粛という緊急事態宣言によって経済的生活的ダメージは甚だしいものがある。
特に社会的弱者に失業の増加という生活していくリスクが高まっている。非正規あるいはフリーランスに影響が大きい。
経済活動のみならず文化活動に携わる者たちの生活していく権利も脅かしている。
経済的ダメージは2008年の世界同時金融危機を大幅に上回り、1930年代の大恐慌を上回るのではないか、との予測も出ている。

「自殺者が増える」という不安も大きく言われているが、4月段階ではその兆候はまだ見られない。
※警察庁https://www.npa.go.jp/safetylife/seianki/jisatsu/R02/202005jisatusokuhouti.pdf
増えるとするならば6月下旬以降だろう。

「新しい生活様式」(new normal)が言われるが、これも今後変わっていくであろう。

⑥葬儀への影響
葬儀について現在の自粛下での5~20人規模という小型化が定着するのではないか、との憶測がマスコミ関係者から語られている。
取材でよく聞かれることだ。

だが、これについては今言える材料がない。
緊急事態宣言が解除されても、2022年上半期頃までは公衆衛生上の対処が求められるだろう。
その先どのような消費者行動があるかは、わからない。これは緊急事態宣言解除後のさまざまな消費行動がヒントになるだろう。
反動としての奢侈化も戦後高度経済成長のようにあるかもしれない。

但し、葬儀の小型化は1995年以降の葬儀意識の個人化、死亡者の超高齢化(80歳以上の死亡者が全体に占める割合が6割を超す)、家族の分散・少数化、単独世帯の増加(一般世帯の3割)を反映したものである以上、小型化傾向は続くと見たほうがいいだろう。

「葬儀」を儀式という点だけでとらえるならば規模的縮小は必須だろう。
宗教者も遺族等の弔いの質より式への参列者の数だけを見て論じがちである。
そうではなく葬儀を看取りから始まる一連の流れとして見るならば、重要性は低くなることは決してない。むしろそこで必要とされるケア、サポートはますます重要性を増すと思われる。
視点の転換が求められているように思う。
それは新規へというより基本へ、と言ったほうがいいように思う。

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投稿者: Hajime Himonya

碑文谷 創(ひもんや・はじめ)/ 葬送ジャーナリスト、評論(死、葬送)、 元雑誌『SOGI』編集長(1990~2016)/ 【連絡先】hajimeh46@nifty.com/ 著書 『葬儀概論(四訂)』(葬祭ディレクター技能審査協会) 『死に方を忘れた日本人』(大東出版社) 『「お葬式」はなぜするの?』(講談社+α文庫) 『Q&Aでわかる 葬儀・お墓で困らない本』(大法輪閣)  『新・お葬式の作法』(平凡社新書) ほか/

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