「布施」問題の現況 「布施」が今問題になっているのは、主に「葬儀の布施」である。 通称「お経料」とか「戒名料」と言われるのはその類である。 葬儀のお経の対価として「お経料」、戒名の対価として「戒名料」と言われる。 仏教会では「布施は対価ではない」として、布施は本来定額化されるべきではない、と布施の定額化に抵抗する。 それに対して僧侶派遣業は「消費者はいくら支払っていいかわからないで悩む」と、「明瞭化」をうたって定額化を進める。 寺院の一部では、消費者の「わからない、という心理は理解できる。強制ではなく、目... 続きを読む
カテゴリー: 仏教と葬儀
戒名問題の視点―戒名、布施問題の多角的アプローチ③
「戒名」に関する問題 戒名についての社会的関心の一つは、「戒名料」に係わる問題である。 これは生活者の関心である。近年は僧侶派遣のネット事業等が「戒名料の定額化」を打ち出し、仏教会がこれに反発するという構図になっている。 これはそのまま仏教寺院の財政基盤に関する問題である。 「戒名料とは言わない」というのが仏教会および各教団の立場である。そもそも「戒名料」と言われるようになったことが問題なのであり、これが戦後の高度経済成長以降の主に都市における「社会的」問題の一つである。 かつてこの議論があ... 続きを読む
死者との関係づけ―戒名、布施問題の多角的アプローチ②
戒名、布施問題の多角的アプローチ② 死者との関係づけ ~仏教葬儀でなぜ「授戒」が重視されたか?(下) 日本の仏教葬儀の内部に少し立ち入って見てみることにしよう。 ※誤解してほしくないのは、ここで教理を語っているのではないこと。儀礼が民衆の心性とどう関係していたのか、その全部ではなく、一端を探る試みだ、ということである。一つの見方を提示するもので、あるべき方向を提示しているわけではない。しかし、これはこれで私の模索の一つの結果を提示している。 「導師」に期待されているもの 死後の世界に橋渡しする存在が導師で... 続きを読む
仏教葬儀で「授戒」がなぜ重視されたか?上-戒名、布施問題の多角的アプローチ①
「僧侶派遣」の話題も賑々しい。少し基本的に戒名、布施問題をさまざまな角度で考えてみたい。過去に書いたものも改めて取り上げていることを予めお断りする。 戒名、布施問題の多角的アプローチ第1回 仏教葬儀でなぜ「授戒」が重視されたか?(上) イニシエーション 20世紀の初め、アルノルト・ファン・ヘネップは『通過儀礼』を著し、「あるグループから他のグループへ移るには、われわれの社会における特定の儀礼──洗礼、叙品式など──にみられるのと同様な通過の際の特別な様相を呈する」と看破した。 彼は、人生の「区切りの一つ... 続きを読む
アマゾンのお坊さん便
全日本仏教会は2015年12月24日(イブ!)理事長談話を発表した。 去る12月8日、「Amazon」は僧侶手配サービスを販売開始しました。これは、「株式会社みんれび」が2013年から展開している「お坊さん便」というサービスで、全国どこにでも定額で僧侶を手配するというものです。 背景には、「読経してもらいたいが、お寺との付き合いがない」「お布施をいくら包めばいいのか不安」といった社会からの声があるといいます。 これには、販売当初より大きな反響とともに賛否の声が寄せられており、定額で分かり易いという声が... 続きを読む