昨日、きょうと東京は少し暖かく感じます。
でも、寒さは2月が本番ですから、これからまた寒い日がくるでしょう。
きょう、かつてお世話になった方の遺稿集をいただきました。
一つの仕事をなす方には哲学があります。
「哲学」という言葉が相応しくなければ「芯」のようなものがあります。
実学の中にそうした強い芯がある、と見てその方の作品を見ると(ほんの一部ですが)、感じるものがあります。
きれいに仕上がった本を読むと、亡くなった方への想いと同時に、ご家族やお弟子さんたちがこの本を出すためにいかに尽力したか、その想いを感じます。
また、昔書いた物語を出版された方がいました。
想いの籠もった本に仕上がりました。
その方の本に寄せる想いを見ていると、私は本を消費しているように恥じ入ります。
本が売れるということは、たくさんの人に読んでいただけるということなので、いいことです。
しかし、たとえたくさん売れなくとも想いの籠もった、読んで深く感じる本があります。
その1冊はとても貴重なものです。
いまの出版事情から言えば、百万部を越すベストセラーもありますが、店頭に数日並ぶだけ、また並びもしない本がたくさんあります。
手軽に作られる本もありますが、その本にほとんど全精力をつぎ込んだ本もまた少なくありません。
本を出す人にとっては特別なものなのです。
売れる本だけではなく、市場ではすぐ忘れられる本、ほとんど陽の目をみない本でもいい本はたくさんあります。
売れたかどうかだけに価値を置けません。
本というのは、市場がありながら、それだけでは割り切れない世界です。
本の印税は8%~10%です。昔は刷り部数保証が多かったですが、いまは実売部数を基本にしているところも多くなりました。
仮に300ページの本を1千円で売るとすると(売価は消費税込みで1050円)、100万部ですと1億円の印税ですが、1千部であれば(この数字だって大変な数字です)印税は10万円(あるいは8万円)にしかなりません。その本に投じた費用、時間も不足してしまいます。
本を出せば儲かるのではなく、むしろほとんどの本は持ち出しになります。
これは著者だけではなく、出版社側も同様です。
ちなみに1千円で売られる本は出版社に入るのが6~7割です。本屋さんは10~12%で1冊は100円~120円、後は取次です。本屋さんは実売り上げは低いですから、万引に遭うと大変です。
出版社も出したからすぐ収入があるわけではありません。委託販売であれば7ヵ月後に精算されます。その前に印刷費とかは支払う必要があります。
結構、辛い商売です。
横道に逸れましたが、本を出す人にとっては特別な本というのがあり、それは市場とほとんど関係しないことが多いということです。
こうした現実を嘆くのではなく、こうした現実の中に本を出すということがあるということです。
出版不況はいまさらのことではなく、20年前から言われ続けていることです。
でも本の出版が減少するのではなく、いまも数多くなされているのは、本を出すことへの特別な想いをもついる人がいるからです。
学生時代神田にある古書店でバイトをしていました。
雑用兼校正の仕事です。
その古書店は専門書の出版も行っていました。
自分が少しでも手をかけた本が出ることは
とっても嬉しかったです。
それに印刷屋さんから上がったばかりの本の匂いは
なんともいえない高揚感を感じました。
かたちに残るということは
それだけ大きいことだと思います。
だからこそ、大切にして欲しいですね。
>本を出すことへの特別な想い
その想いを感じるながら改めて本を読みたいと思いました。
1千部でも印税は10万円程とは、、取材経費や費やす時間を考えると執筆とはほんと大変なことなのですね。
弔いの本質が儲け主義によってずれないように過去と今を評価し、現代にそして後世に指針となる道筋をたてようとの思いを、僕は碑文谷先生の本から感じています。勝手な解釈でごめんさいー(**;
実は、私の書いた本が、もうすぐ世の中に出ます。
本を書くのは非常に大変...
そして儲からないのも解出来ます。
(私が出す本も、市場とは関係ない本です。)
私の場合には、考えや思いを本にするプロセスが大事だったりします(^_^;)
と、言いつつも本というスタイルで、世の中に考えや思いを伝えることに特別な思いがあるのも事実です。
お邪魔しましたm(_ _)m