「小梅姐さん」で時代と人生を考える

昨夜、東中野のポレポレで「小梅姐さん」を観ました。
http://www.koumenehsan.com/100nen/

私より40歳以上の歳の差、ですから戦争をまともに体験した世代です。私の死んだ父より5歳上。
福岡県田川の川崎町生まれ、芸者で民謡、歌謡曲の歌手。歌手デビューは1931年のこと。戦地慰問を戦中は行い、戦後のNHK紅白歌合戦連続出場し、1992年に千葉県にて85歳にて死去。
この歌手の生涯を描いたドキュメンタリー。

この映画を観て、時代と人生がクロスして生きる様を感じた。
戦前の部分には私が直接知らない時代の空気を教えられ(昼間の部を観た家人は「記念写真が家族の記念写真の撮り方と一緒」と言っていた)、戦中には芸能人がどう時代に使われ、そこには動員された兵士たちと共感があったこと。戦後のことでは赤児を背負う母親を観ると背負われた子と私が同世代であると思ったり、「この年は自分は8歳だった」などと自分を重ねて観ていた。小梅さんは多くの人の人生をクロスさせる鑑のようなものであるようだった。
この映画がいいのは人気スターの単なる回顧になっていない点だと思う。その時代の空気を同じ目線で伝えたことにある。

その後、学生時代に同じ世界を生き、その後は別々に歩んだ者10名くらいが一緒に呑んで話をした。
死んだ者のいること、特に自死した者がいることを忘れてはいけないし、それは共通する想いだったろう。
私だけが火葬に立ち会った、孤独死だったK君のことを報告した。
大道芸をする者、牧師をする者、農業に従事する者、とそれぞれの人生があった。

懐かしさ、後悔、慙愧、…さまざまな感情に揺れた2時間半であった。
終わった後の路上でOさんに紙芝居伝統芸を披露してもらった。

広告

投稿者: Hajime Himonya

碑文谷 創(ひもんや・はじめ)/ 葬送ジャーナリスト、評論(死、葬送)、 元雑誌『SOGI』編集長(1990~2016)/ 【連絡先】hajimeh46@nifty.com/ 著書 『葬儀概論(四訂)』(葬祭ディレクター技能審査協会) 『死に方を忘れた日本人』(大東出版社) 『「お葬式」はなぜするの?』(講談社+α文庫) 『Q&Aでわかる 葬儀・お墓で困らない本』(大法輪閣)  『新・お葬式の作法』(平凡社新書) ほか/

「「小梅姐さん」で時代と人生を考える」への1件のフィードバック

コメントは受け付けていません。