ついに窓際族へ

365日(いない日も多いから、実態はこの3分の2くらい?)壁を向いていた生活をしていたのが急変。
いよいよ窓際族です。

正確には先月28日に引越し準備をして、29日に移動。但し、移動しただけで部屋はダンボールで埋められており、30日からヨッコラ荷解き。
何とか居場所はできたもののまだ入口や廊下には、ダンボールが積まれている状態。

こんなに!
とびっくりするほどゴミを捨てたのに、まだまだです。
この間、遅れた原稿にも取り組み、わずかな空間で仕事。
また、こんなに忙しいのに、メールでアチコチと喧嘩をし、それに無駄な時間を費やし、また講演にも出かけ…
事務所を出るのが午前様になったり、で
シッチャカメッチャカな生活でした。

本を捨てたにもかかわらず、まだまだあって、また本というのは何とも重たいものであって、腰が痛くなっても、その痛みに狎れてしまうほど。

この歳になり、思い知らされたのは23時を越えたら酒を呑んではいけないこと。
翌日ゆっくり寝ていられるならいいのですが、3時半に寝て6時に起きるという生活では、朝まだアルコールが残っているらしく、これはダメです。
1日おきに酒を呑んで、別な言い方をすれば1日おきに酒を呑まず、とやってきたのですが、夜1時を過ぎたら、ローテーションでは呑む日でも、翌朝の辛さを考えると、つい呑むのを躊躇ってしまうのです。

間に出かけた会議も神経を使い切るもので、でも、こんな生活の中では辛いとも感じず、何とか乗り切ってしまいました。といってもまだ終わりではないのですが…

この「引越し」、実はビル内移動、私たちは4階にいたのですが、2階の会社が「広いスペースがほしい、どうもお宅たちは人数が少ないようだ。引越し代を出すから交換しないか」と持ち出された話。
スペースは少し狭くなるのですが家賃も安くなることだし、と、その話に乗ったものです。
「超」がつく零細企業としては家賃が安くなるのは大歓迎。
しかし、出版業というのは在庫やら物持ちときたものですから、歩いて8分のところに、元は電器屋さんだったところを倉庫として借りるという羽目にもなりました。

引越し当日には書棚の移動は引越し屋さんがやったのですが、組み立てはせず、要求して人が来たのはいいのですが、道具がないとその人は1時間で行方不明。
でも、手伝いに来てくれてた印刷会社の担当のKさんと税理士のWさんが組み立てをやってくださって、もうひたすら感謝です。

この間、電話やランケーブルの移動、設置をしてくれた若い兄さんたち、力強くて手早い引越し屋さんの兄さんたちを見ていると、技術者、肉体労働者の逞しさにほれぼれ。
これが「オトコ」という生物らしい、とさっぱり「オトコラシサ」とは無縁の、また誰からも「オトコラシサ」を期待されていない、性別だけは「オトコ」である私は感じ入ったものです。

前の部屋は壁で隔離されていたものですから、それをいいことに換気扇と空気清浄機を回しっぱなしで、タバコはチェーンスモーキング状態であったのが、2階の部屋は本棚で隔離はされているものの、空気は繋がっているもので、タバコを吸うときはベランダに出て吸うという形。
「もつかな?」と心配したものの、こちらのほうが体にとって楽なようで、タバコの本数も激減しました。
でも、禁煙ではなく、後ろのドアを開ければベランダという絶好の位置に私の席はあるので、まったく無理ではありません。

昨夜でしたか、深夜に家に向かって車を走らせながらラジオを聴いていたら、娘さんを殺害され、その衝撃で精神を病んだ妻が事故とも自殺とも言えない形で喪った男性が、もう一人の娘と生活しているようなのですが、娘さんの死から警察の取調べ、病んで自傷行為を続ける妻、犯人が見つかっての裁判傍聴したときの感じ、そして妻を喪った様子を、記者の質問に答える形で淡々と、しかし物凄い内容のことを語っていました。

犯罪被害者であるその家族。娘も妻も奪われ、いまは縋りつくような想いで「生き残った」もう一人の娘の成長、結婚、そして孫の誕生と成長に全ての想いをかけているのを聴いて、重いなぁ、と呟いてしまいました。
彼は「娘のためなら何でもする」と言っていましたが、それしか選択肢は残されてはいないでしょう。

この話は連続して起こったのではなく、最初の娘の死から、最初を聴いていなかったのでよくわからないのですが、3~4年後に妻が死亡し、となんだかんだと7年間くらいの話なのです。
妻が娘を亡くし、精神を病み、彼は「自殺」ではなく「事故」だと言っていましたが(彼は彼女が自殺であったなら、きっと化粧をしたであろうに、まったく身なりをかまわないで死んだという事実が、「事故」であったことを証明している、と確信しているのです)、その妻の死は、私にとっては当然というかまったく自然な苦痛に思えたのです。

その二人を喪った男性は、とても淡々と、とても正確な言い回しで、とても客観的に、心の中は怒りと絶望で煮えたぎっていながら、静かに話す様に、その精神の凄まじさに打たれました。

犯罪被害者は2度殺される、と言われますが、この男性、そして話の中でしか出てこなかったもう一人の娘さん、この二人の家族は、けっして2回ではなく、4回も5回も殺されたのではないでしょうか。
犯人に、警察に、裁判に、報道に、そして興味本位な社会に。

この男性の一人残った娘にかける想いの何と重く苦しいものであるか。私がその娘であったなら、きっとその父親の下から逃げ出すことでしょう。
私はその男性が残った娘さんにかける想いを、生きがい、夢とは思いませんでした。そうとでも思わなければという気持ちの重さをただ感じていました。

また寒くなるようです。土曜日にはグンと寒くなるとか。

そういえば10月の中学の同級会の写真をH君が送ってきてくれました。その封筒の何とかわいらしいことか。昔恋文が入った手紙が来たときのトキメキを思い出したほどです。

中には3枚の写真。
1枚はH君と私、もう2枚はK君が入ったもの。
若いように思っても、写真に写っているのは、どう見てもむさ苦しい60過ぎの男です。

彼の、また女性のような美しい字で、もう初雪が降ったと書いてありました。

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投稿者: Hajime Himonya

碑文谷 創(ひもんや・はじめ)/ 葬送ジャーナリスト、評論(死、葬送)、 元雑誌『SOGI』編集長(1990~2016)/ 【連絡先】hajimeh46@nifty.com/ 著書 『葬儀概論(四訂)』(葬祭ディレクター技能審査協会) 『死に方を忘れた日本人』(大東出版社) 『「お葬式」はなぜするの?』(講談社+α文庫) 『Q&Aでわかる 葬儀・お墓で困らない本』(大法輪閣)  『新・お葬式の作法』(平凡社新書) ほか/

「ついに窓際族へ」への4件のフィードバック

  1. 思い知らされたのは・・・・思い知ったら今後は大丈夫かな?
    体を大事にね。

  2. タマゴローさん
    九州では初雪も、というのですが、東京はまだですね。
    きょうは福島県郡山へ行くので雪を見られるかもしれません。
    しりゅうまんさん
    なぜか気持ちは受動態なのです。ダメになってわかるという。
    酒には気をつけます。

  3. 引越しお疲れさまでした!
    腰は、大丈夫ですか。
    環境が変わると慣れるまで大変でしょうけれど、
    新しい発見があったりしますよね。
    お疲れの出ませんよに[E:riceball]

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