蒸す

梅雨ですから「蒸す」のはあたりまえですが、このジトジト感は不快です。
このところ頭には冷却シートを貼り続けです。
これは癖になり、貼らないと落ち着かない、困ったものです。
コンビニで見つけて貼り、薬局に行ったら安いパックがありました。でも清涼感、持続力はコンビニの勝ちです。

このところ1日根つめて仕事をすると2~3日身体が使いものになりません。こういうところに「老い」を感じます。
やっていると「お!この調子だと朝までやれる」と感じるのですが、また、眠眠打破を数本飲みながらですが、もつのですが、後がいけません。

葬祭の現場では感性豊かな若者が増えるというプラスの現象と、まったく相反する乱暴な葬儀営業が目につきます。
葬儀を単なるビジネスの一つとして見て、それを当然とする人たちです。
彼らは葬儀業界を「遅れている」というのですが、どうも批判の観点を取り違えているようなのです。
「儲かる」だけでしたら他にもいろいろな業種があるのですから、そちらでおやりください、と言いたくなるのです。
彼らから言わせると、葬儀業界は遅れているので、簡単に勝てるというのです。
確かに業界はいい企業が伸びるわけではなく、なんでこんな乱暴な企業が伸びるの?という不思議に満ちています。

死に関わり、死者に係わり、死別の悲嘆であるグリーフを抱えた遺族に係わるという本質を理解しようとしていない。

斎場(会館)があり、舞台一杯に飾る生花祭壇があり、リムジンの洋型霊柩車があればいいと思っているのです。人は葬儀社、互助会から取ればいい、自分にノウハウなくてもやれる、と思っているのです。
そういう奴ほど安っぽい「感動」を押し付けているのです。

現金を振り回し、口先ではもっともらしいことを言い、跋扈するんですからいやになります。
消費者もそんな輩に簡単に騙されちまうのです。

その中でまっとうな人がいるということに感激するし、共感を感じます。(考えたら、お金持ちでない人に多い!)

葬儀業界について取材したいという依頼があり、企画書に「ディープな業界事情を」とあったものですから、
「取材に対してはできるだけオープンに応じることにしているが、偏見がある場合にはお断りする」
と断ってしまいました。

「おくりびと」効果にはいいものだけがあるわけではありません。

「死亡者数も増えるし、これからの葬儀業は儲かる。零細企業も多いし」と、他業種の大手企業が目をつけ始めています。
その連中は葬儀の何たるかも理解していないのだから困ります。

物販業ではないのに、見積書にはモノの値段だけが並ぶ不思議。
消費者が賢くなったとはいえ、「サービス」には金を払おうとしないものなのだから、こうしたおかしな価格構成がまかりとおっているのです。
業者だけが悪いのではないのです。
しかし、業に携わる人が変えていかないと「不透明」という謗(そし)りは払拭できないでしょう。
「不透明」なのではなく、表示方法の拙(まず)さなのに。

きょうは晴れて、暑いのですが、ジワっとした不快感があります。
感性が鋭く、しかも勉強熱心な若者が多く集まるようにはなっています。それはとてもうれしいことです。
しかし、商売はうまいのでしょうが、きちんとした哲学をもつ経営者が多くないように思います。
これからますますそうなるような気がして憂鬱なのです。

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投稿者: Hajime Himonya

碑文谷 創(ひもんや・はじめ)/ 葬送ジャーナリスト、評論(死、葬送)、 元雑誌『SOGI』編集長(1990~2016)/ 【連絡先】hajimeh46@nifty.com/ 著書 『葬儀概論(四訂)』(葬祭ディレクター技能審査協会) 『死に方を忘れた日本人』(大東出版社) 『「お葬式」はなぜするの?』(講談社+α文庫) 『Q&Aでわかる 葬儀・お墓で困らない本』(大法輪閣)  『新・お葬式の作法』(平凡社新書) ほか/

「蒸す」への2件のフィードバック

  1. 確かにおっしゃるとおりかも知れません。葬祭業者イコール物販業 でも 普通の物販業ではありませんよ~[E:cancer]
    情報を提供します。そして想っていらっしゃることを的確に形にしようと努力できます。でも…いつか、おっしゃってましたよね。便利になりすぎて、快適性を求めるようになってきた… って。我々業者のせいですかね …。

  2.  私も明日を求めない年齢になり、身内の葬儀に身を置く機会が多いのですが感ずることは、葬儀社の営業者と施行部門の話が違い、聞いてる聞いてないの事例が多いことに違和感を覚えます。従って私も物販業と思ってしまいます。
    物販業でなければ、葬儀総合商社とでも考えさせてもらいましょうか。
    勿論一部の業者でしょうがね。快適性を求めるるのは業者のせいでなければ遺族のせいですか。遺族の心を無視し、他社よりわが社の方が設備が優れているなんて言葉は出ないはずと思いますが僻目ですかね。
    碑文谷先生がお苦しみになるお心を少しは理解できます。

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