サクラ咲く いろいろ 出版の事件まで

昨日は暖かだったがきょうは午後からうす曇で少し寒い感じです。
4月2~4日、つまりきょうの13時まで浅草の都立産業貿易センタービルで葬祭用具の展示会が行なわれました。

毎年3社が1フロアずつ使って同時開催されていたのですが、不況のため1社が抜けることになり、空いたスペースをK社が呼びかけ出展者を募集して行なわれました。
どういうわけか鎌倉新書さんと小社が協賛になり、誌上案内を行ない、ブースももちました。
1日搬入で、基本的に私も会場に詰めました。

フェアの現場に出るのは、前の会社以来です。
30年以上前の晴海で開催されたデータショー以来のことです。

何人かの知り合いが来られました。
しかし、思ったより集まらなくて、3~4日で合計約800人、最終日のきょうは昼まででしたが約50人くらい。
セミナーが3~4日だったのと、3日はトモマエ(つまり友引前日)4日は友引だったということがあります。

「友引」は迷信で「友を引く」と考えられたので葬儀は少なく、また多くの火葬場は利用の少ない友引を休日にして休みだから、という事情があります。

「友引=葬式をしない日」というのは誤解から生まれたものですが、月に6回ほどあるので、葬儀社、火葬場の従事者の貴重な休日になっています。
迷信だから火葬場は友引も開け、という声があり、まことに正論なのですが、そうすると葬儀関係者の休日をどうするか、という問題が現実に発生します。
今でもろくに休みが取れない葬儀関係の労働者をどうするか、ということになります。
他の企業のように土日を休め、とすると他の地域から来る人の都合で土日が今でも多いのに、ブーイングが増えるでしょう。
「友引なんて」と言うことは自由なのですが、葬儀関係者の休暇を考えないで言うのは無責任です。

ローテーションで休みを取ればいいのでは、という意見はもっともです。
でも従業員の多い企業では可能でも、中小零細が殆どですから、困難なのです。
葬祭関係者にとっての仕事は曜日を選びません。
また、担当者がローテーションで休むとなると、遺族が不安になることもあります。

「代休を与える」
と言いますが、現実には困難が多いのです。
今でもトモマエ、トモビキは完全に休めるわけではありません。
トモビキは葬儀をしない→前日の夜は一般に通夜がない、というだけで、トモマエでもトモビキでも死亡者はいるので、搬送や納棺や打ち合わせはあるのです。
「比較的に仕事が少ないので、多くの人が休んでも、それほど支障がない日」でしかないのです。

「前近代的だ」とおっしゃる方が業界内にもいます。
極端な方は「そんなの企業じゃない」と批判される方もいます。
しかし、わかっていても苦労しているのが中小零細の業者です。
「それらは企業前の商店だから淘汰されるべき」
と業界内でも大きな企業の方は言い捨てられるのでしょうが、言い捨てられるほうの辛さも承知しないといけないでしょう。

従業員の労働環境の改善は業界の大きな課題です。
法律でも示されています。
それなのに「トモビキの火葬場営業」はさらなる困難を与えることになるでしょう。
「友引は迷信」というのは、まことに正論なのですが、正論を言うと同時に代案を考えていただきたい。
それも社会的に理解を得やすい代案を。

さて、話は勝手に「友引」のことにいっちゃいましたが、フェアの話に戻すと、いくつかの問題も出ました。
セミナー会場が隣接してブースで区切っただけでしたので、初日はマイクのボリュームを絞らなかったので、「隣りの声が大きくて集中できなかった」というブーイングが出ました。
2日目はその点少し改善されましたが、初日の講演者、聴講された方には大きな迷惑をかけてしまいました。

フェアで感じたのは不況、葬式の小型化の切迫感。
「ビジネスモデル」を変えなければ、とおっしゃる方も多いです。
そうしないと皆が不幸になる可能性があります。
「弱肉強食」は世のならいとは言え、それをこの業界に当て嵌めると「悪い者が生き残る」結果にもなりかねません。

今、葬式は「変化の途中」にあります。
どう変化していくのか、それは人々の死および人の死の受け止め方、意識のありようによって変わります。

さてさて、朝早く出かけ、フェアで立っていて(もっともよく抜け出していた、という目撃者の証言もありますが)、夜はお坊さんとの討論会’(?)を酒を呑みながらやったり、事務所に戻って原稿を書いたり、忙しなかったので、疲れて、眠いです。

今、事務所に戻り、途中居眠りしながら、このブログを書いているのですが、事件が!

親愛なる社会学者・井上治代さん(東洋大学准教授、NPO法人エンディングセンター理事長、「桜葬」の生みの親)が本を出しました。いえ井上さんはこれまでもたくさん本を書いていますから、事件なのは

子どもからよくわかる、初の「葬送入門」の書!
『より良く死ぬ日のために』
(本体1400円、理論社)


が手元にきたこと、もうすぐ書店に並ぶでしょうが、漫画も入っていて。ずばり「事件」とも言うべき衝撃的な本です。
http://www.rironsha.co.jp/shinkan/index.html

子どもにもわかる…わかりやすく丁寧に
それでいて宗教や歴史も踏まえているから高度な内容まで、
それでいて「現代」という時代に沿っていて、
それでいて「いのち」に対する優しさにみちて

そんな本です。
眠気も吹っ飛びましたよ。
もちろん解釈として私の理解と違う箇所もあるのですが、
この本の潔いのは、解釈も含めて「井上さんの本」なのです。
つまり個性に満ちている本なのです。

けっして「子ども向け」と侮ってはいけません。
私の解釈と違うところもあるが(しつこい!)、井上さんが言い切ったところが凄い。
私は気が弱いので、「こういう考えも、ああいいう解釈も」と始終言い訳を考えていて、また揺れる(つまりフラフラするのですが)
井上さん「きっぷがいい」のです。

この本はお勧めです。

井上さん、この本は考え抜かれた本です。
考え抜かれた、手抜きのない本ですから「力作」でもあるのですが、それは裏の話で、とても読みやすく、興味を持続させる、つまりは「読ませる力」のある本です。

さてきょうのタイトルに「サクラ」とつけたので、携帯で撮った写真を咲き始めであったり、満開だったり、車の中から撮ったりなのですが。
場所は四谷の外堀、靖国神社の向かい、外苑東通り、慶応病院だったりするのですが

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投稿者: Hajime Himonya

碑文谷 創(ひもんや・はじめ)/ 葬送ジャーナリスト、評論(死、葬送)、 元雑誌『SOGI』編集長(1990~2016)/ 【連絡先】hajimeh46@nifty.com/ 著書 『葬儀概論(四訂)』(葬祭ディレクター技能審査協会) 『死に方を忘れた日本人』(大東出版社) 『「お葬式」はなぜするの?』(講談社+α文庫) 『Q&Aでわかる 葬儀・お墓で困らない本』(大法輪閣)  『新・お葬式の作法』(平凡社新書) ほか/

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