再考 東京に原発を!

3月26日現在、東日本大震災(東北太平洋沖地震)の被災状況は、警察庁発表によれば、死者10, 418 人、行方不明17, 072人、しかし負傷者が2,777人と少ないのは、今回の震災の特徴か?
ほとんどが生と死を分けたことになる。
避難先は17都道府県に及ぶ。
例えば栃木県に43か所2,689人、群馬県48か所3,321人、新潟県が69か所7,532人、山梨県に117か所798人などとなっている。

行方不明者は家族等が届け出た数、今後津波になぎ倒された家屋の撤去作業でどれだけの遺体が出てくるか、おそらく1カ月という単位ではないだろう。

当面の死者の収容は一段落した模様だが、この遺体の火葬または埋葬が終了したわけではない。身元が判明しない遺体のほうが多いようだ。
残りの死者の収容はこれからの作業の中で行われることになるのだろう。

まだ寒さが酷い現地なようだ。
被災地の天気予報を見ると最低気温が零度を下回る日が今後も続きそうだ。
ボランティアを含め、数百名単位で葬祭従事者も現地入りしているようだ。また、現地の被災者が被災者でありながら救援活動を、こちらは震災当日から行っている。
全ての人に敬意を表し、その人たちの健康を憂う。

(政府によれば、ボランティア活動は以下の通り。
●ボランティア情報
現在、被災地では余震が続くなどにより、自衛隊や警察等の災害の専門家以外は被災地に立ち入り、活動することが難しい状況にあります。
ボランティアとして活動を希望されている皆様は、被災地支援・災害ボランティア情報(全社協)に、被災地の最新情報が随時掲載されますので、これを活動の参考にしていただきますようお願いいたします。(厚生労働省)
 
http://www.mhlw.go.jp/bunya/seikatsuhogo/volunteer_tohokutaiheiyo.html

福島の原子力発電所の被災はそこに働く人々が津波による家族の行方不明を抱えながら過酷な状態で働き続けているという。

今回の事故のレベルはスリーマイル島原発事故のレベル5を超えてレベル6に達した。多くの人々が不安から怨嗟の的にしている。
怒るべきは何に対してか、冷静に見極めるべきだと思う。
今、その最も過酷な状態の中で働いている人々が、被災者、被害者である、ということ、この事実を確認すべきだろう。

私の事務所のある新宿区の外苑東通りも、土曜日というだけではなく、夜は暗い。
日常の快適さ、快楽が何に支えられていたのか、と考えるとぞっとする。
かつて「東京に原発を!」と言われたが(広瀬隆著、集英社文庫)、これは極めてまっとうな意見であった、と今思っている人は多いのではないか。そのくらいのリスクを自覚しないと都市生活を享受すべきではないのだ、と思う。

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投稿者: Hajime Himonya

碑文谷 創(ひもんや・はじめ)/ 葬送ジャーナリスト、評論(死、葬送)、 元雑誌『SOGI』編集長(1990~2016)/ 【連絡先】hajimeh46@nifty.com/ 著書 『葬儀概論(四訂)』(葬祭ディレクター技能審査協会) 『死に方を忘れた日本人』(大東出版社) 『「お葬式」はなぜするの?』(講談社+α文庫) 『Q&Aでわかる 葬儀・お墓で困らない本』(大法輪閣)  『新・お葬式の作法』(平凡社新書) ほか/