死生観

きょうは伊勢という神社の総本山で中堅神職の方々相手に「日本人の死生観」について2コマ3時間話す。昨年について2度目となる。
僧侶の方向けは多いが、神職の方向けは珍しい。
こちらの考えが先方に近づいたのか、先方がこちらに近づいたのか、その双方であろう。

3.11以来、穢れと浄めについて考えることが多くなった。穢れに対して根拠のないものを恐れ退けるという感覚があろうかと思うが、これは違うように思う。
きちんと分析されての行動ではないから、時に誤ることもあり、差別につながることがあるが、感染症や死に対するリアルな畏怖を背景としている。
そう考えると納得できる点があり、それへの浄めも積極的、肯定的にとらえることができるように思う。

このところの私の思考が、世の中にある観念をすぐ否定するのではなく、その源流や現実的根拠があるはずと考えてのことだ。

3.11が突きつけた一つがリアルな死である。死亡者が増えるのに死に対する感覚が妙に希薄になっていたところに、現実を突き付けられた思いがした。

「浄め」を近代合理主義の感覚から離れて考えると、ひじょうにリアルな切実な行為ととらえることができるのではないか。これに託した人々の想いをこそ大事にすべきではないか。

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投稿者: Hajime Himonya

碑文谷 創(ひもんや・はじめ)/ 葬送ジャーナリスト、評論(死、葬送)、 元雑誌『SOGI』編集長(1990~2016)/ 【連絡先】hajimeh46@nifty.com/ 著書 『葬儀概論(四訂)』(葬祭ディレクター技能審査協会) 『死に方を忘れた日本人』(大東出版社) 『「お葬式」はなぜするの?』(講談社+α文庫) 『Q&Aでわかる 葬儀・お墓で困らない本』(大法輪閣)  『新・お葬式の作法』(平凡社新書) ほか/

「死生観」への1件のフィードバック

  1. んとに暑い日が続きます・・。お変わりありませんか?こちらはやっと梅雨明け模様です。更新がよくよく・・・。
    少し心配で・・ちょっと安心で・・とてもげんきづけられます。
    初めてこの雑誌を見つけたのは・・少しこの仕事に慣れてきて葬儀の内容に興味『・・失礼な言いまわしお許しを・・。』を持った時のことです。事務所の本棚に・・曹洞宗の・・  神葬祭の・・臨済宗の・・浄土宗の・・・
    あった♪あった♪これだこれコレ・・。それから・・本をまる写しにして式次第を作り・・??お寺さんに・・ここはどんなお経を・・なんて・・若いお寺さんにしか聞けませんでしたが・・とっても充実した期間でした。グリーフケアこれもこの雑誌から・・。今も尊敬してやまない・・幸浩さま・・。・・・笑。喪失の痛みは失恋の痛みに・・・この記事に感動し信者になってしまったのです。いま・・葬祭カフェを営んでいらっしゃるとか・・。この雑誌に出逢えて・・、記事に出逢えて・・いろんな想いにふれられ・・。糧として明日へ向かって・・。ほんと・・この19年と9カ月・・お世話になりました。またこれからもいろんな想いに触れていきたいです。・・・『こちらの考えが先方に近づいたのか、先方がこちらに近づいたのか、その双方であろう。』・・・両方ですよね。みんな触れたいんですよ。想いに・・。媒体としてのsogi・・司式者と・そのお手伝いの為に・・まだまだ頑張っていただきたい。暑いですご自愛の程
    碑文谷様。
    西の地より。

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