今朝(3月10日)の東京新聞
耐久性より増設優先 福島第一 急造タンク群 3年後破綻
には、東京電力福島第一原子力発電所事故が現在進行形であることを知らされる。
東京電力福島第一原発で、高濃度汚染水を処理した後の水をためるタンクが、増設のスピードを優先して溶接しなかったため耐久性が劣り、三年後には続々と大改修を迫られることが分かった。敷地内にタンクを増設する用地がなくなる時期とも重なる。処理水には除去が極めて難しい放射性物質も含まれ、このままでは、またも汚染水の海洋放出という事態を招きかねない。 (小野沢健太)
汚染の源の蓋が閉じられるどころかまだ開いている。そういうところに置かれている。
一昨日(3月8日)、全日本仏教会主催のシンポジウム
「放射能被害とは―福島第一原子力発電所事故による被ばくを考える」
に一応「報道」という札をぶら下げて行った。
パネラは、ドキュメンタリー映画「内部被ばくを生き抜く」を発表した映画監督の鎌仲ひとみさん、曹洞宗南相馬市同慶寺住職の田中徳雲さん、医師で岐阜環境医学研究所所長で内部被ばく問題に警鐘を鳴らし続けている松井英介さん。コーディネイトは全仏前事務総長で浄土宗総合研究所主任研究員の戸松義晴さん
西新宿の高層ビルで開催されたそのシンポジウムは早々に予約申し込みを締め切るほど関心を集めた。
パネラーが強調しているのは、今でも低線量放射能内部被ばくは進行中だということだ。
松井さんは、
「(放射線の)核種ごとに、結びやすい臓器、組織、細胞が違います。例えばヨウ素131は甲状腺に、セシウム137は筋肉や心臓に、ストロンチウム90は骨や歯の組織・細胞と結びつきやすいのです。しかも、セシウム137とストロンチウム90の物理的半減期はどちらも約30年ですが、セシウム137が平均3ヶ月ほどと比較的短い期間に排出されるのに対して、ストロンチウム90は一旦骨や歯に入り込むと何十年も出ていきません。骨の中には血球を作る骨髄がありますから、白血球やリンパ球のもとになる幹細胞が放射線(β線)によって、繰り返し傷つけられることになるのです。白血病などの原因です。」
と語る。
田中徳雲さんの言葉で印象に残ったのは
「区域に入るには名目が必要だが、『納骨』や『墓参』が名目では入れない。『春着を取りに行く』としてついでに納骨、墓参をすればいいというが『納骨』や『墓参』はついでではないだろう」
「避難したお年寄りが『どこで死んだらいいのか? 仮設住宅では死にたくない』と言っている」
「人が住まない住居はネズミやサルのすみかになって、簡単に戻れる状態ではない」
鎌仲さんは
「多くの母親が留まるべきか移住すべきか、子どもの未来のために苦しんでいる」
「低線量放射能内部被ばくは結果が出るのに15,20、30年先という長期的な不安にある」
「子どもの体内にどれだけあるか乳歯検査等をやらないといけない」
フクシマは容易に終わらない。20年以上前の1986年4月チェルノブイリ原発事故(旧ソ連当時、現ウクライナ)がまだ終わっていないように。
よく
「大津波では多くの死者が出たが、原発事故で死者は出ていない」
といわれる。
しかしこれは大きな過ちだと思う。
フクシマでは700人以上の方々が「震災関連死」ですでに亡くなっている。また放射能の被ばくを原因とする病人、死者が出てくるのはこれから先30年以上続く。
原発事故の影響は福島県だけに集中しているわけではない。
宮城、岩手、茨城、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川にも、調査が行われていないので明確ではないが確実に及んでいるだろう。
原発事故に起因する避難者は、会津地方等の県内避難も多いが、それこそ九州にいたるまで全国各地に散らばっている。
そして全国に「自由意思」で避難したとされる人には行政の援助の手も向けられていない。
故郷を追われた人、子どもの未来を憂えて県外避難を選択した人、避難にもさまざまな形があるが、強制的に指定された区域の人たちだけが犠牲者ではない。
「子どもを県外に」という人は、大きな不安を憂えて避難しているのであり、決定的な安全が保証されない現在、そののっぴきならない不安を生んだ東電は責任をもたなければならない。
福島原発以外でも原発立地となった地域は、過疎で寂れ困っているところに莫大な補助金、雇用機会という餌で入り込んだ。
これ自体が日本の高度経済成長期の負の遺産である。
以上は3月10日に書いたもので自分では更新してアップしたつもりであったが、「下書き」のまま保存されていたもので、アップする。