葬式の原点は何か
葬送の変化を決定づけたのは2008年のリーマンショックです。
しかし、変化は今から20年前の1995年から始まっています。
お葬式は確かに表面的にはとても変化しています。
現在進行形で変化しています。
葬祭仏教の成立期である戦国時代のお葬式、
昼間に行われるようになった明治時代のお葬式、
祭壇が照明で煌めいたバブル景気時のお葬式、
それぞれ様相には変化があります。
しかし、原点、基本には変化がないように思います。
変わっているのは死者を取り巻く環境です。
環境の変化に伴い、お葬式の形態も変化してきています。
原点、基本に関して言うならば、お葬式とは「人の死を受けとめる作業」全体を言います。
社会的に影響力の多い人の場合、関係する人は多数に及びますが、一般的に言うならば、
葬式とは、死者と関係の深い人、たとえば配偶者、親、子ども、きょうだいらの家族、親戚、友人、仕事等の仲間、その他関係を結んだ人が、その人の死に直面し、営む心理的、精神的、宗教的、事務的等の作業一切を言います。
※「葬式」を「通夜}(90年代以降「通夜式」なる語が現れた!)、「葬儀」という今では1時間内外で行われる儀礼部分を指して言われることがあるのは大いなる誤解である。こういう単純な見方では葬式全体を見ることができない。
その中でも欠かせないのは、
①死者(遺体)の尊厳を守る
②近親者の悲嘆への配慮
この2つに尽きると思います。
そのために死者を弔い、鄭重に遺体を葬る(火葬、土葬等で)作業をするのではないでしょうか。
家族の喪(も)の作業を考えることで重要なのは、
看取りを充分に行うことと、
死後の死者との別れに可能なかぎり時間を取ることです。
とはいっても看取りは家族が離散し、少数化している現在、できないこともあります。
死後もあちこちへの連絡やらで遺体と向き合う時間は案外取りにくいものです。
せめて
仏教で言えば枕経の時間、あるいは納棺、通夜、葬儀の前に、1時間でも、
他に干渉されないで向き合う時間を取ることは極めて重要です。
おそらくこの時間の過ごし方が最も重要なように思います。